■名前確認をきちんとしているかも重要
ありえないような患者や検体の取り違えも報告されている。白内障手術の際、患者Aの手術中に、看護師は患者Bの手術だと勘違いして、他人の眼内レンズを誤って挿入した事例が、昨年12月の『医療安全情報NO.205』(日本医療機能評価機構)で報告されている。
少しさかのぼって2021年には、千葉大学病院で、乳がんのある左胸の標本を右胸と勘違いするなどして、本来必要のない右胸も摘出してしまった事例が報告された。
「前述のとおり、まずは病院の症例数を見ることが重要です。
また、このような大きなミスが起こるのは、経営が悪い病院で起こりやすい。経営難に陥れば人件費から削られ、医師の疲労によってミスが起こりやすくなると考えられます。
スタッフ不足の場合、医師や看護師が雑務に追われたり、疲弊した表情をしていたり、服装が乱れていたりするものです。また、古めかしい医療機器が多い、昼間、医師が他院にアルバイトに出かけ“無医村”となっている病院なども要注意といえるでしょう」
ケアレスミスは、クリニックでも起こりうる。
「電子カルテであれば、同姓同名はアラートが鳴るので気づくのですが、受付で呼び出した患者が、別人だったということもあります。
患者さんにも知ってほしいのは、医師が患者名や顔を覚えているとは限らないこと。診察、検査、薬局などで、医療機関がしっかり患者の名前を確認するかも、医療の質を見極めるポイントです。
別人のカルテを見て診察している場合、誤投薬の原因にもなってしまいますので、症状など話がかみ合わない場合は、確認を求めることです」
いまや、患者の“医療機関を見る目”も求められているのだ。