認知症になると親の口座は凍結…元気なうちにやっておきたい「代理人指名」とは
画像を見る 認知症が発症する前に、余裕を持って金融機関に相談しよう(写真:EKAKI/PIXTA)

 

■成年後見人が必要になる場合は早めに準備を

 

きょうだいがいる場合、代理人は誰が務めるといいのだろうか。

 

「親の近くに住んでいる人がいいと思います。金融機関との委任状のやり取りや、印鑑が必要という事態にも対応しやすいでしょう」

 

実際の介護が始まったら、「勝手に親のお金を使った」などときょうだい間でもめることも。

 

「父を看病したときは、父の寝室に現金の出し入れを記録するノートと財布を置いていました。おむつを買った、通院時のタクシー代を払ったなどの使途と金額をノートに記録し、財布から現金を受け取ります。ノートにはその日の出来事などもメモして、交換日記のように情報を共有していました。財布の現金がなくならないよう管理するのは姉の担当でした」

 

親が今は健康でも、認知症はいつ発症するかわからない。

 

「代理人の手続きを先延ばししていて認知機能が怪しくなってから慌てて駆け込んでも、金融機関がすでに認知症だと判断したら、代理人の指名はできず、成年後見制度の利用を求められることがあります。また、自宅を売却して高齢者施設の入所金にあてたいときなど、不動産の売却は成年後見人しかできません」

 

成年後見制度には法定後見と任意後見の2種類ある。認知機能が低下してからだと法定後見を選ぶこととなり、後見人には弁護士などが選任されることが多い。となると、後見人が決まるまでに最低でも1カ月はかかり、後見人への謝礼は財産額にもよるが月2万~6万円かかる。なにより認知機能が低下してから任命された後見人は、親の希望を知ることができず、希望に沿った支援はむずかしい。

 

「実家の売却などが予想される場合は、親が元気な早い段階から成年後見の手続きを始めましょう。親の認知機能が確かなら、子どもなどを任意後見人として指名することも可能です」

 

親の認知症で資産が凍結されるのを防ぐには、前述の金融機関の代理人指名などの簡単な手続きから、早く手を打つことが重要だ。

 

「認知症なんてまだまだ先」と笑い合えるうちに、準備を始めよう。

 

画像ページ >【グラフあり】認知症高齢者の保有資産残高(推計値)(他4枚)

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