■都市部では「縁」が少なく孤独死のリスクが高い
また、孤独死の背景には“長生きリスク”もあるようだ。
「愛知県は健康寿命(2019年)で女性が全国3位、男性が全国1位と高く、介護サービスを受けるために必要な要支援・要介護の認定率でも愛知県は全国平均よりも低くなっています。その一方、大分県は認定率が高い。実は、介護サービスを受けることでケアマネジャー、ヘルパーなどが身近にいることになり、社会とつながりができます。健康で元気なシニアが多い愛知県は、介護サービスを利用する人が少なく、その結果、社会とのつながりができずに、孤独死が多いのかもしれません」
愛知県ではどのような対策を講じているのか?
「高齢者の見守りを専門に行う高齢者福祉相談員を各区に配置。また新聞配達員、郵便局など事業者と連携し、たとえば新聞が2~3日たまった場合に区役所の福祉課に連絡がいくようなネットワークをつくるなど孤独死対策を行っています」(名古屋市健康福祉局)
「孤独死する県」には愛知県、埼玉県、東京都、大阪府など人口が多い都府県が入っているのも特徴だ。
「孤独死を減らすためには、地域の見守り活動の柱となる民生委員の存在がカギを握ります。しかし、都会では、オートロックのマンションに一人で暮らしている高齢者も少なくありませんので、地域の見守り活動が機能しません。さらにいえば、都会では民生委員のなり手も不足しています。“向こう三軒両隣”といわれますが、隣近所の『縁』でお互いに気にかけることも多くはありません。その結果、都会では孤独死が起きるリスクが高いのです」
誰もがなる可能性がある孤独死――地域や周囲の見守り態勢を構築することが急がれている。
画像ページ >【グラフあり】東京都23区の65歳以上の孤独死(自宅住居で亡くなった単身者数)(他2枚)
