“デジタル終活”せずに3千万の借金を背負った人も…税理士に聞いた悲劇のエピソード3つ
画像を見る スマホのパスワードが分からなくてーー「ネット預金がおろせないだけじゃない」(写真:genzoh/PIXTA)

 

■110%という相続額を超える税金が必要に

 

【3】父の暗号資産を相続放棄

 

Dさんは2013年に当時話題のビットコインを購入。1ビットコイン(BTC)=6千円で、60万円分、100BTCを購入した。

 

だが、2014年にビットコインの取引所、マウントゴックスが預り金を大量消失し倒産。ユーザーの資産も凍結され、Dさんも100BTCをあきらめるしかなかった。

 

ところが、2024年ごろから凍結が解除。Dさんにも100BTCが戻ってきた。折しも2025年は1BTC=1千800万円の最高値をつけ急騰中。Dさんは一気に億万長者になったが、持病が悪化して急逝。死亡日は1BTC=1千400万円で、遺産は14億円に及んだ。

 

娘のEさんが14億円相当のビットコインを売却すると、暗号資産は雑所得に当たるため、所得税45%と住民税は10%、合わせて55%の納税が発生。しかも、相続税も最高税率の55%が必要だ。

 

つまり14億円の相続に対し、所得税と住民税、相続税を合わせて110%という相続額を超える税金が必要になる。概算で納税額は14億3千万円となり、Eさんは約3千万円を借金して用意する必要が。Eさんは相続を放棄した。

 

「暗号資産は現在『総合課税』の扱いです。令和8年度の税制改正大綱に『’27年以降、暗号資産の利益には一律20%を課税、分離課税とする』と方針が示されました。これが実現すると、Eさんのような悲劇は起きません」

 

仮にDさんが存命中にビットコインを売却すれば、どうなった?

 

「暗号資産の売却金から購入資金を引いた利益に所得税と住民税がかかりますが、6億円ほど残るでしょう。その6億円をEさんが相続すれば、相続税が55%としても相続放棄の必要はなかったかも」

 

Eさんが父の暗号資産を知らず、相続税を申告しなかったら……?

 

「相続税は10カ月以内に申告が必要なので、税務調査が入るかも。ただし死後3カ月を過ぎていると相続放棄はできません」

 

デジタル終活は、何から始めればいいのだろう。

 

「スマホのパスコードなどを控えましょう。エンディングノートを活用するなど、家族にわかりやすい方法がおすすめです」

 

残すべき情報はチェックリストのとおり。アナログで記録を。

 

「デジタル資産が一切なくても、スマホが開けずLINEが見られないと、故人の交友関係がわかりません。誰にも連絡できず、さみしい葬儀になってしまいますよ」

 

デジタル終活は人ごとではない。今すぐメモから始めよう。

 

いまや60代でも93%の人がデジタル金融資産を相続するという。デジタル面での「終活」をしていないと、莫大な借金がのしかかってくることも。しっかり備えよう。

 

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