主食、果物抑えがん再発予防に…タイプ別“ケトジェニック”計画

投稿日: 2017年08月30日 16:00 JST

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「がん患者に『免疫栄養ケトン食』を3カ月以上実施したところ、がん細胞が小さくなったり、消滅するなどして、その83%に効果があったことが臨床研究でわかりました。治療だけでなく、再発を含めたがんの予防や、認知症予防などにも効果的です」

 

そう説明してくれたのは、がん専門医である古川健司医師の監修のもと、『免疫栄養ケトン食でがんに勝つレシピ』(光文社)を出版した、管理栄養士の麻生れいみさん。この食事療法のカギとなるのが“ケトン体”だという。これまで、人間の体を動かすエネルギー源になるものは、糖質だけだと考えられてきた。ところがケトン体もその役割を担うという最新の研究結果を受け、この食事療法が編み出されたのだ。

 

「ケトン体は脂肪を燃やすことで作られますが、その脂肪燃焼を邪魔するのが糖質。さらに糖質はがん細胞の栄養になることもわかっています。糖質の摂取を制限し、ケトン体を出す体質になることで、エネルギー源はケトン体で確保しながら、がん細胞に栄養を与えずに弱らせて、がんを小さくしたり、死滅させられる可能性があるのです」

 

糖質は、炭水化物のごはんや麺、パン、そして砂糖や果物などに多く含まれている栄養素。「免疫栄養ケトン食」は、まず糖質を含む食べ物を控えることから始める。

 

「やみくもに糖質を制限しさえすればいい、というものではありません。必要最低限の糖質は摂取しつつ、免疫機能と密接に関わるタンパク質と、体の機能を調整するミネラル、ビタミン、そして良質な油を十分に取ること。さらに、“MCTオイル”を取り入れる必要があります」

 

免疫栄養ケトン食の実践プログラムには、摂取してもいい糖質量別に“セミケトジェニック”“ケトジェニック”“スーパーケトジェニック”の3段階がある。そこで、3つのケトジェニックプログラムを紹介。

 

【糖質60%オフ】がん予防、再発予防(ステージI)のためのーー“セミケトジェニック”プログラムーー糖質摂取量を1食30g以下、1日80g以下に

 

(1)ごはんは1日70g×2回か、140g×1回を限度に。70gは白米で軽めの半膳。これで糖質は25gくらいに。食べるなら朝食と昼食などにして、夕食はできるだけ主食より、おかずを楽しむようにしよう。

(2)果物は1日100g以下に。糖質の一種である“果糖”が意外と多く含まれているのが果物。健康にいいといわれるりんごでも、1個で約37gもの糖質が!

(3)MTCオイルを毎食約14g(大さじ1)、合計約40g摂取。ケトン体の合成を助けるMCTオイル。料理にかけたり、コーヒーに入れたりと、好みに合わせて活用しよう。

 

【糖質80%オフ】がん再発予防(ステージII〜III)のためのーー“ケトジェニック”プログラムーー糖質摂取量を1食20g以下、1日40g以下に

 

(1)ごはんは1日70gまで。糖質0g麺やブランパン(小麦の外皮で作られた低糖質パン)を活用し、ごはんは1日半膳までに。食べる場合は朝食か昼食にして、夕食はサラダを主食に。タンパク質をたっぷり。

(2)果物は1日50g以下に。果物は、これまで食べていた量の1/3程度に減らそう。

(3)MCTオイルを毎食約20g(大さじ2)、合計約60g摂取。中鎖脂肪酸100%のMCTオイルは、摂取するとケトン体が産生される。ただし一度に大量に取ると下痢や嘔吐につながることもあるので、少量ずつ分けて取ろう。

 

【糖質95%オフ】がん治療(ステージIV)をサポートするーー“スーパーケトジェニック”プログラムーー糖質摂取量を1食10g以下、1日20g以下に

 

(1)ごはんやパンなどは禁止。“主食もどき”などに変更を。大豆で作った麺や豆腐麺、こんにゃく製粉を含んだ米粒状の食品といった“主食もどき”商品を活用しよう。ブロッコリーや、みじん切りにしたカリフラワーをココナツオイルで炒めたものも主食代わりになる。

(2)果物(アボカド以外)は禁止。アボカドは果物でありながら糖質が少ないうえ、脂肪分が多く、カロリーをしっかり取れる。ビタミン、ミネラルも多く栄養価が高いので、1日1/2〜1個食べるのがおすすめ。

(3)MCTオイルを毎食約20g、間食約10g、寝る前に約10gの合計約80g摂取。コーヒーやみそ汁に混ぜるなどして、数回に分けて取ろう。

 

「がん予防や、ステージIのがん治療と再発予防、さらに認知症を予防したり、健康的な体を目指す人は、1日の糖質摂取量を80g以下に抑えるセミケトジェニックを。1食分の目安としては、タンパク質は手のひら1枚分、野菜はゆでたり蒸したりしたら片手分、生なら両手分。ごはんは握りこぶし1個分です」

 

ステージII、IIIのがん治療や再発予防を目指す人は、糖質摂取量を1日40g以下に抑えるケトジェニックを、ステージIVのがん治療中の人は、糖質ギリギリまで制限するスーパーケトジェニックを実践する。目的に合わせてプログラムを選び、主食やおかずの量を調整することで、もし家族にがん患者がいても、みんなで同じ食事を楽しむことができるのもうれしい。

 

ただし、「やせられそう」と健康な人が安易にスーパーケトジェニックを試すのはかなり危険と麻生さん。

 

「糖質を極限まで長期にわたって制限すると、動脈硬化や糖尿病などのリスクが高まることがわかってきました。また、体力が落ちてしまっては、がんに打ち勝つ体は作れません。免疫栄養ケトン食はあくまでも、がん細胞の栄養源となる糖質を制限し、ケトン体をエネルギー源に代え、必要な栄養素はしっかりと取り入れて免疫力をアップする食事療法。過度に糖質を制限することは、体を壊す危険性もある“諸刃の剣”になるということを忘れないでください」

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