「足腰に関係するトラブルの原因の多くは、じつは“足の指”にあるのです」
そう話すのは、“体幹トレーニング”の第一人者でスポーツトレーナーの木場克己さん。サッカー日本代表の長友佑都選手(30=インテル・ミラノ)、リオ五輪で競泳7種目に出場して日本新記録を連発した池江璃花子選手(16)ら数多くのトップアスリートを指導しているカリスマトレーナーだ。数多くのアスリートや患者にアドバイスをしてきた経験から、「O脚やX脚、また偏平足や外反母趾、そして膝痛といった足のトラブルの多くは現代のライフスタイルの影響もあって“足の指を使っていないこと”が要因」と木場トレーナーは指摘する。
下の「足元のバランスを崩すNG習慣」に、いくつあてはまるかをチェックしてみよう。あてはまる数が多いほど、足腰のトラブルに要注意とのこと。
○階段よりエスカレーターを使うことが多い
○いつも同じ側にカバンを持っているor提げている
○昼間の時間帯はデスクワークが中心だ
○イスに座ると、気づいたら脚を組んでいる
○靴下を履くときは、必ず座ってしまう
○電車で立っているとき、つい壁に寄りかかってしまう
○最近、ほとんどスポーツなどの運動をしていない
○よく履いている靴の底の減り方が均一ではない
○ここ最近、自分の姿勢を鏡でチェックしたことがない
○「内転筋」という脚の筋肉の位置がわからない
「慢性的な運動不足やデスクワークによる筋肉のこわばりは、体のバランスを崩して外見の印象を悪くするだけでなく、将来的に足腰の健康を損なう危険性もあります。年齢を重ねても健康な足腰をキープするためには、ふだんから足の指をしっかり使うことが重要なのです」(木場トレーナー)。ついついやってしまいがちな生活習慣だが、これらに足腰の健康に影響をおよぼすリスクが潜んでいるという。
「足の指を使っていないと、足の裏の土踏まずのアーチがなくなり、扁平足になっていきます。土踏まずは歩く際に体重を受け止めるクッションの役目を果たしているのですが、扁平足になるとそのクッション性が失われてしまう。それによって、歩く際の衝撃を膝や腰がダイレクトに受けてしまうのです」
そうならないためにも、「足を横から見たとき、足の底がアーチを描くようなシルエットで、足の5本の指が地面をしっかり噛んでいる状態」をキープすることが大切であると木場トレーナーは解説する。こうして日常的に足の指を使う習慣をつけるには、“かかとを立てること”でアプローチしやすくなると木場トレーナーは話す。“足の指を使う”“かかとを立てる”ということを意識しやすくするために、木場トレーナーは、これらの体勢が自然と取れるよう設計された「かかとインソール」も考案している。
「“かかとを立てる”状態が再現しやすくなると、日常生活で自然と足の指を使う習慣がついていきます。徐々に扁平足が改善され、さまざまな脚のトラブル発生を防ぐことにつながります。さらに、“体に一本のまっすぐな軸がある正しい姿勢”を維持していくことで、日常生活で脚の筋肉に適切な刺激を与えることができ、これが体のシルエットを美しくすることにつながっていきます」
足元のNG習慣を見直して、いつまでも健康な足腰を維持したい!