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いつの時代も女性を悩ませる「冷え性」。昔に比べて暖房設備も充実したのに、どうしてこんなに冷えてしまうのだろう。イシハラクリニック副院長の石原新菜先生が解説してくれた。

 

「実は現代のライフスタイルこそが体を冷やす原因になっているのです。60年前の日本人の平熱は36.8度あり、医学辞典でも平熱の定義は『36.5度から37.2度』とされています。ところが現代人の平熱は35.5度から36.2度程度と、およそ1度低下。とくに女性の8割は平熱が36.5度に届かず、昔以上に冷えているのです」

 

その原因となる、ライフスタイルとは?

 

「交通インフラが整い、家電も充実。デスクワークに従事する人も増えたことによる、慢性的な運動不足です。体温は筋肉、肝臓、脳、そのほかの臓器などから作られますが、筋肉からの熱が4割を占めていますので、運動不足による筋力低下は冷えの温床に。女性は男性よりもともと筋肉が少ないため、より冷えやすくなっているのです」

 

食生活の変化も深く関係。

 

「いまは一年を通して世界中の野菜や果物が手に入りますが、漢方の考えでは、暑い地方で取れたものや葉物野菜の多くは、体を冷やす作用がある陰性食品です。本来なら、冬に旬を迎える根菜類などの陽性食品を食べることで冷えを予防するのですが、いまでは季節を問わずグリーンサラダなどを食べるようになりました。陰性食品ばかり食べていると、体は冷えるいっぽうなのです」

 

そのほか、小麦や上白糖など精製された食べ物をとることや、過剰な水の摂取、極端な減塩も、体を冷やしてしまっているのだ。

 

「精製された白い食べ物が体を冷やすのは、代謝を上げるミネラルやビタミンが削られているから。私たちは知らず知らずのうちに、自らを冷やす生活を送ってしまっているのです」

 

じつは、冷え性は単に手足が冷えるだけでなく、「万病のもと」にもなる女性の大敵だ。

 

「体が冷えを感じるというのは、これ以上体温を逃がさないように血管が縮んでいる状態で、結果的に全身の血行が悪くなってしまいます。血液はすべての臓器に栄養や酸素を届け、かつ老廃物を回収していますので、これらが滞ればあらゆる不調のもとに。肌荒れ、コリ、貧血のほか、脳疾患や心疾患といった重篤な病気にもつながりかねません」

 

その原因は血管の収縮に限らない。

 

「人間の体は、体温が1度下がると代謝が12%落ちるといわれています。当然太りやすくなり、肥満やたるみの原因に。また、女性は本来、女性ホルモンの働きによってコレステロール値や血糖値が男性より安定しやすいものですが、高コレステロール血症や糖尿病を発症した場合は、冷えによる代謝低下が原因という可能性も考えられるのです。さらに冷えは免疫力も低下させるため、風邪をひきやすくなったり、アレルギー症状を引き起こす原因にも。あらゆる不調や病気と関係するのが、冷えなのです」

 

その予防には、とにもかくにも自分で発熱できる体作りをすること!

 

「とくに、体温の多くを生み出す筋肉をつけることは冷え性対策の要。筋肉の7割は下半身についていますので、下半身を強化する習慣をつけましょう。また、更年期の代表的な症状であるほてりやのぼせ、イライラ、不眠などは、それまで子宮や卵巣に回っていた血が、閉経によって上半身にのぼってしまうために起こるもので「昇症」といいます。下半身を鍛えていない冷え性の人ほど、この症状が重くなりがちですので、冷え性対策はつらい更年期症状の対策にもなりますよ」

 

冷え性を制するものは万病を制す。今年の冬こそ、あったか女子を目指そう!

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