「風邪をひいたら安静にしているように」と言われた覚えはない? 30年間、風邪をひいたことがない医師はプールで泳ぐというのだ! 日々アップデートしている風邪の新常識とはーー。
毎日家事をこなさなければならない主婦たちは、風邪をひいたからといって休むことはできない。
「私は医師になって31年になりますが、これまで一度も体調不良で休んだことはありません。体調不良を訴えて訪れる患者さんと毎日接していて、人よりも何十倍も風邪をひきやすい環境にいるので、体調管理に気を配っています」
そう語るのは、池袋大谷クリニックの大谷義夫院長。
体調管理には3つの柱があり、マスクや手洗い、うがいなど「風邪・インフルエンザ」の予防を徹底し、食事など生活習慣を整えて基礎体力をつける、不調のもとになる睡眠不足や運動不足を解消することが基本。しかし、科学的に証明された予防法の論文からは、これまで常識と思われていた風邪の予防法がじつは“非常識”だったことがわかったという。
そこで、大谷院長が実践している風邪にならない新生活習慣を教えてもらった。
【1】風邪のひきはじめにプールで泳ぐ
風邪のときにはやってはいけないといわれている行動のひとつに「運動」があるが、大谷院長はあえて軽い運動を勧めている。
「風邪をひいたときは安静にするようにいわれていますが、風邪のひきはじめに軽い運動をすると、免疫のために働くNK細胞が活性化し、さまざまな免疫マーカーもよくなることがわかっています。体の免疫力がアップして回復が早くなるのです。私は風邪のひきはじめに、プールに行って5分だけ泳いでいます」
水泳でなくても、15分ほどのウオーキングでもOK。
【2】お風呂に入って温まる
運動と同じく、風邪をひいたときには、お風呂には入らないで、暖かくして寝るほうがいいといわれているが、これも間違いという。
「それは銭湯に通っていたころの話で、湯冷めする心配があるから入浴はダメといわれていました。今は自宅のお風呂に入る人がほとんどです。汗を流してサッパリしますし、清潔に保つことができます。高熱のときでも体がつらくなければ、シャワー程度は入浴してもいいでしょう」
【3】歯磨き1日4回以上
歯磨きやフロスによる口腔ケアは、風邪・インフルエンザの予防に役立つという。
「口の中の細菌から出るタンパク質は、インフルエンザウイルスを気道に入るのを助けるというデータがあります。寝ている間は、唾液が減り細菌が増えるので、食後のほかにも、寝る前にもう一度、よく歯を磨きましょう」
【4】うがい薬を使わないで水でうがいをする
風邪の予防には「うがい薬を使ったうがいはウイルスを殺す効果がある」と思いがちだが、水うがいで十分という。
「京都大学健康科学センターが行った研究で387人を対象に、外出後に『うがいをしない人』『水だけでうがいをする人』『ヨードなどのうがい液でうがいをする人』の3つに分けたところ、水だけでうがいをする人が最も風邪をひきにくかったという結果が出ました。ヨードなどのうがい液は、口の中の雑菌を消毒することが目的で、風邪の予防のために作られたものではないので、水で十分です」
どの項目も手軽にできるものばかり。さっそくトライしてみよう。
「女性自身」2020年2月11日号 掲載