巣ごもり生活が長引き、外出する機会が減ったことで、運動不足の人が急増している。「平らな道を歩いてつまずくようになった」「階段を上がるのがつらい」「布団の上げ下ろしがきつい」など、日常生活の中で衰えを感じる場面が増えてきたら要注意!
「コロナ禍で、外出を控えている人も多いと思います。特にコロナに感染すると重症化が懸念される糖尿病などの持病がある人はひきこもりの状態だとも聞きます。外出しないことでコロナに感染するリスクは軽減できますが、1日の活動量が減ることは、健康で長生きするためには大きなマイナスとなってしまいます」
そう警鐘を鳴らすのは、順天堂大学医学部附属順天堂医院循環器内科准教授の横山美帆先生だ。健康で長生きするためには“自力で動ける体”をいつまでも維持することが重要となる。
健康寿命(医療や介護に依存しないで自立した生活ができる生存期間)を延ばすカギを握るのは「脚の筋力」「バランス力」「柔軟力」「握力」の4つ。
筋肉は30歳前後をピークに衰えてくる。40歳以降では、運動習慣がないと年1%の割合で減少していく。なかでも「脚の筋力」は、歩くためだけでなく、立つ、座るなど、毎日の生活動作を支える大事な要素。体幹の筋力の衰えが進むと、平衡感覚も鈍くなり「バランス力」が同時に衰えてくる。
「特に、女性は閉経後に骨粗しょう症になりやすく、骨がもろくなると、ちょっとつまずいただけで簡単に骨折してしまうことも考えられます。骨折した部位が脚の付け根や背骨の場合、日常生活に復帰するまでに時間がかかり、なかにはそのまま寝たきりの生活を余儀なくされる人もいます」
筋肉や骨と同じように、関節もまた加齢とともに機能が衰えてくる。関節をスムーズに動かすための潤滑油である滑液の分泌が悪くなり、関節の周辺にある靱帯や腱が硬くなることが原因だ。この点で「柔軟力」を鍛えることがケガの予防にもつながるのだという。
「『握力』は、物を握ったり、つかんだりするなど、生活動作の中でこまめに使う部分。ペットボトルのフタが開けづらい、重い荷物を持つのがしんどくなってきた、という人は注意しましょう」