まだまだ感染症リスクが懸念されているいま、カバンやスマホなどの日用品をアルコールで除菌することがすっかり習慣となった人も多いはず。
だが、直接アルコールで除菌することができない日用品が「コスメ」だ。ファンデーションなどに直接アルコールを吹きかけてしまうと、品質の変化や低下を招きかねない。かといって、もし菌やウイルスが付着していたら口に入るかもしれないし、肌荒れなどにつながる可能性もある。
さらに海外の研究では、こんな驚きの事実も……!
「英国アストン大学の生命健康科学部は、使いかけのマスカラ、リップ、化粧用パフなどを含むメーク道具に付着している微生物を調べました。すると、その70〜90%から大腸菌や黄色ブドウ球菌などの細菌が検出されたそうです。これらはぼうこう炎の原因菌としても知られており、放ったままコスメを使い続けると、感染症を引き起こしかねないことが指摘されています」(在英ジャーナリスト)
同大学が研究の際に行ったアンケートによると、回答者の93%が「パフを一度も洗ったことがない」と答えたというーー。
よしき皮膚科クリニック銀座院長の吉木伸子さんは、パフなどの化粧小物を清潔にしないことのリスクについてこう話す。
「過度に神経質になる必要はありませんが、ファンデーションを塗ったパフには自分の皮脂がつくため、時間とともに酸化します。そのため、使い続けると過酸化した脂質を毎日肌に塗っていることになり、肌老化を促進することになるのです」
どうすれば清潔に保つことができるのだろうか。コスメの除菌法について、専門家に意見を聞いた。
【心得1】「家用・外出用」と使い分けることが理想
長野保健医療大学看護学部助教授で公衆衛生看護が専門の塚田ゆみ子さんは、「自宅で使用するコスメと、外で化粧直しに使うコスメとは分けて、2つ用意するのが望ましい」と語る。
たとえば、化粧直し用にファンデーションと口紅を持ち歩いている人は、家用と外出用の2つずつを用意するということだ。
「外部からの菌やウイルスの付着を防ぐため、外で持ち歩いたカバンはできるだけ玄関に置くようにし、リビングや寝室には持ち込まないことを私はおすすめしています。それはコスメや化粧小物にも言えることです。外出用のものは専用のポーチに入れて、カバンにしまっておきましょう。2つ用意できないものは、自宅に持ち帰ったらケースをすぐに除菌シートなどで拭くこと」
【心得2】「母娘で共用」はなるべく避ける
多くの百貨店では、現在コロナ対策として化粧品のテスターが撤去されている。
「唾液が付着しやすい口紅や、粘膜の近くにつけるアイライナーなどは、テスターでなくとも他人と共用するのは避けることをおすすめします」
そう話すのは、化粧品開発に携わる大山優さん(仮名)。塚田さんも、「コスメの共用は推奨しない」と語る。
「やはり不特定多数の人が触ったものを肌につけることは、清潔ではありません。母娘で共用している人もいると思いますが、なるべく避けたほうがよいですね。どうしてもという場合は、使い切りのパフやチップを使用するなどして、感染リスクを減らしましょう」(塚田さん)
【心得3】メーク前は必ず手をキレイにしよう
「コロナ禍において、コスメ用品を使うときにいちばん注意しなければならないのは、手をキレイに洗ってからモノに触るということ。たとえば、出先のベンチや電車内など、すぐに手を洗うことができないような場所で化粧直しをするのは避けたほうがいいですね」(塚田さん)
外でメーク直しをする場合は、必ず手が洗える場所で行うこと。
コスメの正しい使い方を知って、清潔な管理を心がけるようにしよう。
「女性自身」2020年7月21日号 掲載