近ごろ、スイーツ類のフレーバーとして注目を集めている「ほうじ茶」。実際、売場ではほうじ茶味だけが売り切れていることも多く、その人気ぶりがよくわかる。理由は、なんといっても香ばしい香り。“ほっとひと息”というときに最適だ。そこで、お茶の健康効果に詳しい、食品医学研究所の平柳要先生にほうじ茶について話を伺った。
「“ほうじ香”とも呼ばれるほうじ茶の香り成分はピラジンで、煎茶を加熱する過程で生まれます。これにリラックス効果があるんですね。さらに、煎ることで花の香り成分であるゲラニオールやリナロールも生まれるので、まさにリラックスの相乗効果。ほうじ茶を飲んで癒されると感じるのは、理にかなっているんですよ」(平柳先生・以下同)
そして、日ごろからリラックスしてストレスを解消しておくことは、体にとっても重要なのだそう。
「ご存じのように、ストレスは百害あって一利なし。不眠になる、集中力が低下する、イライラが増す、頭痛になるといったわかりやすい症状だけでなく、ストレスが続けば、高血圧や狭心症、消化器の潰瘍、呼吸器の疾患など、重篤な病気につながることもあります。だから、こまめにほうじ茶を飲んでストレスを緩和させておくことは、健康維持につながるのです。また、ピラジンは血液をサラサラにする作用も持っているので、生活習慣病を予防したい人にもおすすめですよ」
半面、煎茶に含まれるカテキンには脂肪燃焼効果を期待できるが、加熱してほうじ茶にする段階で、そのほとんどがなくなってしまうという。
「ダイエット効果を優先するなら、煎茶を飲むほうがいいでしょう。でも、梅雨どきは湿気の影響で寝不足になったり、体が重く、だるくなることも多い。エアコンの影響で冷え性や血行不良を招くこともあります。この時期はあまり欲張らず、リラックス効果や血液サラサラ効果だけで十分だと思います。カフェイン量も少ないので、夜に飲んでもいいですね」
今年は寝苦しい夏の間じゅう、ほうじ茶が欠かせなくなりそうだ。
「お茶に含まれるビタミンCは熱に強いという特徴があるので、紫外線対策になる、というおまけもついてきますしね」
新茶の季節に、あえてほうじ茶! リーズナブルながら香りとうまみが高く、梅雨どきの不調解消にも効果が。ほうじ茶で、不快な季節を乗り切ろう!