「わが家の食卓は基本的に大量の野菜を使うんで、そこには小松菜も入ってくるんです。でも、次女にとって小松菜は『食べられるけど、食べなくていいなら、食べたくない』という感じの野菜でした。そこで、だったらいろいろやってみたいなと思って」
野菜ソムリエの資格を持つ石黒彩さん(35)。石黒さんの場合、子供が苦手な野菜を無理に食べさせることはけっしてしないという。
「『絶対に食べさせるぞ!』みたいに、母親が変に構えすぎると、嫌いなものがもっと嫌いになってしまうと思うんです。そこで、小松菜だったら、初めのころはおひたしとかごまあえとか、いろんなメニューを作って、毎日、その子の取り皿に必ず取り分けるようにしました。残しても、くじけず、次の日もお皿に取り分けて(笑)」(石黒さん・以下同)
手をつけないからといって「また残して!」とか「食べなきゃダメだよ」などと、子供をしからない。
「言いすぎたり、視線でプレッシャーを与えたりすると逆効果。1年後に食べられるようになったらラッキー、くらいに気長に構えるんです」
1年どころか、大人になれば食べるようになる、そのくらいの気持ちで子供の苦手意識と向き合っている。また、子供といっしょに買い物に行くというのも、石黒さん流の苦手克服作戦のひとつだという。
「たとえば、ピーマンが苦手な子だったら、八百屋さんに行ったとき、その子にピーマンを選ばせるんです。お店のおじさんやお兄さんって、優しいでしょ?だからその子に『センスあるなあ、選んだのは、店でいちばんいいピーマンだよ!』なんて言ってくれるんです。そうすると、食べてくれたりするんですよね」
現在、3人の子の母親である石黒さん。子供の好き嫌いをなくすには、親がおいしく食べる姿を見せることで、子供に「これ、おいしいんじゃないか?」と思わせることが大切だという。
「本来、ご飯の時間は楽しい時間です。お母さんが般若みたいな顔をして食卓に座っていたら、おいしいものもおいしくなくなっちゃいますよ。みんなでニコニコ食べる、それが偏食を避けるにはいちばんですよね」