「夏は、自律神経が不安定になりやすい季節です。自律神経のバランスが乱れると、不眠やイライラだけでなく、さまざまな器官に不調が。夏バテも招きます」

 

そう語るのは、順天堂大学医学部教授で自律神経研究者の第一人者の小林弘幸先生。自律神経には、大まかに言うと、自動車のアクセルの役目をする交感神経とブレーキ役の副交感神経がある。交感神経が高まると緊張、興奮した気分になり、副交感神経が高まると、リラックスモードに。この2つが交互にバランスよく働くことが理想的な状態だ。

 

「夏場に、自律神経が乱れる要因は3つあります。1.脱水状態。2.汗や湿度など不快感。3.エアコンによる寒暖差。気温が高くなると、人間は汗をかいて体温を調節します。そのため体内の水分がどんどん失われてしまいます。脱水状態になると、血流が低下し、自律神経は乱れてしまいます。ふだんからこまめな水分補給を心がけましょう」

 

夏バテの原因ともなる自律神経の乱れ。だが、お手軽な食材で解消できるという。小林先生がおすすめするのが「鶏のムネ肉」だ。

 

「高タンパクで低カロリーの鶏のムネ肉ですが、最近では、コンビニで売っている『サラダチキン』がダイエットに効果的と人気があるようですね。そんな鶏のムネ肉には疲労を回復させる『イミダペプチド』というタンパク質が多く含まれています。ある研究では、毎日100グラムのムネ肉を1週間食べ続けた結果、疲労回復の効果がアップしたという報告もあります」

 

また「イミダペプチド」は、自律神経とも密接な関係が。

 

「体内に取り込まれた酵素の一部が変化し、体に害を与える『活性酸素』は、脳の自律神経中枢の細胞もサビつかせ、疲労をためやすくします。ところが抗酸化作用のある『イミダペプチド』は、自律神経中枢の細胞に直接、運ばれます。疲れを癒すだけでなく、自律神経の機能低下を防ぐ効果も発揮します」

 

今年の夏は、鶏のムネ肉を使った料理をしっかり食べて、疲れない体に「バージョンアップ」して、乗り切ろう!

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