「年をとれば、バスト、おなかの肉をはじめ、体中のパーツが垂れてきます。加齢のせいでしかたないと思っている人が多いのですが、この“垂れ”は腸の位置が原因。腸が下がると、胃や肝臓など周囲の臓器、そしてその周りの肉も下にずれていき、全体が垂れてしまうんです! 筋力の弱い女性の腸は男性より下がりやすく、50代女性の9割が“下がり腸”なんですよ」
こう話すのは、元便秘外来の看護師で、現在セラピストとして腸のマッサージを行う小野咲さん。7月発売の著書『下がらないカラダ』(サンマーク出版)が6万部を突破し、話題になっている。腸には小腸と大腸があり、小腸は食べ物の消化・吸収を行うのに対して、大腸は小腸で吸収されなかった食べカスを便にしながら肛門に運ぶのが仕事。腸が垂れるのは、この大腸に原因がある。
「小腸を時計回りにぐるりと囲む大腸は、まず右下から右上に老廃物を押し上げ、左に流した後に下に落とし、肛門から便として排出します。問題は、この左上から下に落ちるカーブ。右から左に流れてきた老廃物が、このカーブで詰まりやすいのです。ここが詰まると大腸の上部がM字型に垂れ、その垂れは腸全体に及ぶようになります。垂れるほど老廃物が詰まりやすくなり、老廃物がたまるとますます腸は垂れるという悪循環に。私はここを“汚腸のカーブ”と呼んでいます」(小野さん・以下同)
また、腸の垂れは外見の垂れにとどまらず、さまざまな健康問題を引き起こす。たとえば女性に多い「冷え」は、腸の垂れによって背中の太い血管が圧迫され、血流が悪化することが原因の1つ。さらに、腸にたまった老廃物が血管に吸収され、血流とともに全身に運ばれると、むくみ、肌荒れ、抜け毛など、さまざまな不調となって現れるという。
「下がり腸になると、体全体の垂れから姿勢が悪くなり、代謝も悪くなります。この状態で運動をしても効果は出づらく、逆に老廃物でいっぱいの血液を体中に巡らせてしまいます。運動後の体臭が気になる方は、腸にたまった老廃物が原因かもしれません」
腸が汚いと腸内にガスがたまり、その悪臭が息やゲップで口から漏れる場合も。
「ひどくなるとへそから悪臭が漏れることもあります。便秘外来の患者さんにマッサージをしていたとき、へそから足の裏のような臭いが漂ってくることがありました。でも、ご自身では気づいていないことがほとんどです」
では、自分の腸が下がっているか、どの程度汚れているのかを知る方法は?
「まっすぐに立ち、へそが横真一文字になっていたら“下がり腸”ですね。さらにあおむけになり、へそ周りを指でグッと押したときに、第一関節まで入らなければ腸が硬くなっている証拠。老廃物いっぱいの“汚腸”の印です」