9月に入って一気に秋らしい陽気になってきたというのに、ぜんぜん調子が上がらない、という人が意外に多い。
「頭が痛くなるときがあると思ったら、今度は目が回る。ママ友とのランチに出かけようと思ったら急に体調が悪くなり、約束をドタキャンしてしまいました……」
こう訴えるのは、東京都在住のNさん(38)。今年の夏、東京では7月まではうだるような猛暑が続いたと思ったら、8月に入ると今度は記録的な長雨に。加えて、ジェットコースターのような目まぐるしさで暑い日と寒い日が交互に訪れた。そのせいか、Nさんは肩こりもひどくなり、頭痛がなかなかおさまらない日もあったという。
「その症状は、めまいと緊張性頭痛ですね」と語るのは、石黒クリニック(岐阜県)の石黒源之院長。
「季節の変わり目に、女性と高齢者によく見られるのが、めまいと緊張性頭痛です。寒暖差が激しくなることで自律神経失調症を起こし、立ちくらみなど、さまざまな体調不良を起こします。めまいは、1日の最高気温と最低気温の差が10度を超えると起こしやすくなるといわれていますので、夏が終わり急に気温が下がるこの季節は注意が必要です。これは夏場にも同じことが言えますが、室内外の激しい温度差も、めまいを起こす原因になります。緊張性頭痛は、頭の両側か全体、あるいは後頭部がギューッと締めつけられるような鈍い痛みに見舞われますが、これも寒暖差が激しいときにあらわれやすい症状のひとつだと言えます」(石黒院長・以下同)
「食欲の秋」や「芸術の秋」などといわれ、とかくイメージのいい季節の「秋」。ところがその実態は「病気の秋」といってもいいくらいに危険な要素が満載だそう。女性にとっては体調と同じくらい気になるのが美容面での不調だが、この季節にピークを迎える乾燥性皮膚そうよう症と抜け毛は気になるところだろう。
前者は、乾燥によってかゆみなどの症状が起こるものなので、対策には肌の保湿ケアが不可欠。保湿美容液や加湿器を取り入れて、入念に肌の手入れを心がけよう。後者は髪の毛を傷める紫外線がその元凶。今からでも遅くないので、こまめに帽子をかぶるなど、直射日光を避けるよう気を付けるのがよい。
また、高齢者のいる家庭では、夏から秋にかけてピークを迎える「偽痛風」にも注意が必要だ。
「『偽痛風』とは、その名のとおり痛風のように、関節に痛みが出ること。痛風は尿酸が体の中にたまり、それが結晶になって激しい関節炎を引き起こすものですが、『偽痛風』の場合は血液検査をしても尿酸値は低く、リウマチの反応も見られないケースが見られます。この病気は高齢者に多く、寒さも原因のひとつだと考えられています」
ほかには、ダニアレルゲンや秋の花粉症によるぜんそくの発作、気温の低下にともなう血圧上昇が原因となるくも膜下出血なども「秋」に気をつけたい症状だが、石黒院長によると、「保健室に来る子ども」もこの時期にピークを迎えるという。
「夏休みなど長期休暇のあとは、子どももナーバスになっているので、お母さんは子どもが言うことを聞かないからといって、きつく叱りつけないほうがいいですよ」
病いは「気」からともいうように、表情が曇っていないかなど、子どもの発するシグナルを早めに察知してあげることも大切なのだ。