「栄養面と使いやすさ、そして価格、これらを考えて健康になるための『17食材』を選びました。17食材を中心に食事を組み立てれば、自分が理想とする体になれ、そして健康的にやせられます」
そう話すのはアスリートフードマイスターの杉山彩さん。最近はおいしいもの、健康にいいもの、安いものや、○○がいい、△△は避けてといった情報などが多すぎて、何を選べばよいのかがかえってわかりづらい。そう感じている人も多いのではないだろうか。
「一般家庭の冷蔵庫に、多種多様な食材がたくさん入っているのを見ると、こんなに必要だろうかと疑問でした。本当に必要なものは、実は少ないのではないかと考えて、食材を整理整頓したのです。トライアスロンを行う自分の体で実験し、アスリートフードマイスターとして食をサポートするアスリートたちのパフォーマンスで検証を繰り返して、“これだけあれば”という無敵の17食材にたどりつきました」
17食材のラインナップは次のとおり。
【1】鶏肉
最強の高タンパク低脂質食品。皮をはずせばカロリーダウンも簡単。
【2】サケ
糖質や脂肪の代謝に欠かせないビタミンB群が豊富で、アンチエイジング効果も。
【3】青魚(イワシ・アジ・サバ・サンマ)
不飽和脂肪酸のDHA・EPAが豊富。中性脂肪合成の抑制や血栓の予防に効果的。
【4】卵
ビタミンCと食物繊維を補えば完全栄養食品。腹持ちがいいのはゆで卵。
【5】納豆
絶対常備してほしいイチオシ食品。でも、食べすぎは脂質過多のもと。
【6】ヨーグルト
ヨーグルトを最初に食べると、食後血糖値の上昇を抑え、太りにくい体をつくる。
【7】玄米
食物繊維が豊富でデトックス効果が高い。ダイエットにはやせ物質の多い冷やご飯を。
【8】ブロッコリー
抗酸化力の高いビタミンACEや食物繊維、植物性タンパク質も含む“筋トレめし”。
【9】小松菜
カルシウムもビタミンAもCも豊富なベストオブ葉物野菜。ミネラルのバランスもグッド。
【10】パセリ
ビタミン・ミネラルの宝庫。パリコレモデルがスタイル維持のために食べる。
【11】たまねぎ
豊富なアリシンが、糖質の代謝を助けるビタミンB1の働きをサポートする。
【12】トマト
抗酸化作用の高いリコピンが豊富。常温保存で真っ赤に追熟させるとリコピン量がアップ。
【13】ごぼう
「食べすぎた」ときは、48時間以内にごぼうを食べてリカバー。食物繊維でデトックスを。
【14】にんじん
β-カロテンが活性酸素を除去してアンチエイジング。抗酸化力の高いビタミンACEがそろう。
【15】キャベツ
最初に食べると血糖値の急上昇を抑えてダイエットに◎。胃腸のトラブルを防ぐビタミンUも。
【16】きのこ
食物繊維も豊富でカロリーが低いので、たくさん食べても安心。冷凍でうま味成分がアップ。
【17】海藻類
低カロリーで、うま味成分のグルタミン酸が豊富。ビタミン、ミネラル、食物繊維も多い。
また、17食材は、買い物の時短にもつながる。冷蔵庫にいつも17食材をそろえておけばいいので、スーパーで、何を買おうかと迷うこともない。時には、17食材以外の牛肉や豚肉があってもいいし、旬のものも積極的に取り入れたいが、17食材という「食の軸」があることで、シンプルに考えられる。忙しい私たちにはありがたい。
改めて17食材を見てみると、食べるものとしての印象が少ない「パセリ」に目が留まった。
「パセリの栄養価は群を抜いています。食べないなんてもったいない。茎をはずして冷凍すれば、手でもむだけでみじん切り状態。苦味もそれほどないので、おにぎりやスープに混ぜて、たくさん食べて」
17食材のなかでイチオシは納豆だという。
「簡単に良質のタンパク質がとれて、納豆菌が腸内環境を整えてくれます。しかも安い。わが家では食事だけでなく、おやつ代わりに食べます。先ほどのパセリやモズク、しらすなど、何と組み合わせてもおいしいのがうれしいですよね」
さらに、こうした17食材を使ったやせるレシピも教えてもらった。
■たまねぎ麹
〈食材〉
たまねぎ…大1個(300g)
米麹…100g
塩…35g
〈作り方〉
(1)保存瓶は煮沸消毒した後にキッチンペーパーで拭き、乾燥させる。
(2)ボウルに、バラバラにほぐした麹と塩を入れ、手でギュッギュッともみ混ぜ合わせる。
(3)たまねぎをみじん切りにする。
(4)2に3を入れ、さらに混ぜ、保存瓶に入れる。
(5)キッチンペーパーなどをのせ、ふたを上から軽く置き空気に触れるようにして、1日1回、清潔な割りばしなどで混ぜる。
(6)4〜7日で完成(夏は4日、冬は1週間くらい)。以降はふたをして冷蔵保存する。
■17食材そぼろ
〈食材〉4人分
鶏ひき肉…400g
にんじん…中1本(120g)
たまねぎ…1/2個(100g)
まいたけ…1パック(100g)
ブロッコリーのくき…1株分(100g)
パセリ…適量
乾燥ヒジキ…大さじ2(6g)
A(味噌…大さじ1、しょうゆ…大さじ2と1/2、みりん…大さじ3、酢…大さじ1、はちみつ…大さじ1、酒…大さじ1と1/2、塩…ひとつまみ)
〈作り方〉
(1)ヒジキを水でもどし、野菜はすべて1cm角に切り、Aをすべて混ぜる。
(2)中火で熱したフライパンにすべての材料を入れて2分ほどよく混ぜながら炒め、ふたをして弱火〜中火で7分ほど蒸し煮する。
(3)野菜に火が通ったらふたを取り、加熱しながら汁気がなくなるまでかき混ぜて完成。
■ボーンブロススープ
〈材料〉
鶏がら(手羽も可)…500〜700g
野菜…たまねぎ(皮も)1個、にんじんなど切れ端野菜、にんにく1片、ねぎの青い部分1本分、しいたけの軸4〜5本分
塩…小さじ1〜2
酢…大さじ1〜2
水…適量
※塩・酢は鍋の大きさ、味の好みで調節する。
〈作り方〉
(1)大きな鍋に鶏がら、野菜の切れ端、調味料を入れ、かぶる程度の水を加える。
(2)そのままコトコト、アクをとりながら4〜5時間煮て、味をみながら適宜塩を加えて完成。材料をこしてスープとして飲んでも深い味が楽しめ、また、シチューなどのだしとしても使える。
「『たまねぎ麹』は本当におすすめです。たっぷりのアリシンで代謝がアップ。塩代わりに使えば、いつもの料理がプロの味に変身します」
たまねぎ麹は1日1回混ぜるだけで、あとは時間が作ってくれる。1品でたくさんの栄養がとれる『17食材そぼろ』は、食物繊維が豊富。旬のものなど何を加えても、おいしくて健康的だ。
「『ボーンブロススープ』は時間がかかりますが、つきっきりでなくてもOK。超安価な食材が、体に染みる極上スープになります」
「女性自身」2021年2月9日号 掲載