(写真:PIXTA) 画像を見る

「軽症、予備軍を合わせると、日本人の5人に1人が、大きないびきとともに、睡眠中に何度も呼吸が止まる、SASを発症しているといわれています。しかし治療を受けているのは40万人ほど。未治療の重症患者は300万人ほどいるとみられています」

 

こう指摘するのは「RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック」院長の白濱龍太郎さん。

 

「SASは舌の根元や軟口蓋が喉の奥に落ち込んで、気道をふさいでしまうことで起こります」(白濱さん・以下同)

 

呼吸ができない状態が続き体が低酸素状態になると脳が危険を察知して、眠りを浅くさせる。それによって、呼吸は再開するものの気道が狭くなっているため、空気が通るたびに、軟口蓋や舌の根元が震え、いびきが生じてしまう。SASの人が大いびきをかくのはこのためだ。

 

「慢性的にいびきをかく人は要注意。SASの医学的な診断基準は睡眠時、1時間に5回以上、または一晩に30回以上無呼吸・低呼吸状態になることです」

 

これまでいびきとは無縁だった人も、加齢によってSASになることがあるという。

 

「女性は、更年期以降急激にリスクが高まります。プロゲステロンという、気道を広げる効果のある女性ホルモンの分泌が減少するためです」

 

また、肥満の人は喉の周りに脂肪がつくことで気道が狭まり、SASを発症しやすいという。

 

「しかし、やせているから安心というわけではありません。SAS患者の3割は、BMI値の正常な人。見た目はやせていても、喉の周りに脂肪がついているということもあります。そもそもアジア人は骨格的に顎や鼻が小さく、気道が狭いのが特徴。SASになりやすいのです」

 

また、口呼吸の人は舌の根元が沈下しやすくなり、気道が狭まる傾向があるという。

 

「花粉症や鼻炎を患い、口呼吸が習慣になっている人は、SASになるリスクが高いのです」

 

次ページ >いびきによって認知症や脳卒中リスクが激増

【関連画像】

関連カテゴリー:
関連タグ: