【頭痛
つらい頭痛を和らげてくれる痛み止め(鎮痛剤)。処方箋なしで購入できる鎮痛剤も人気だが、使いすぎると頭痛が悪化することも!
「緊張性頭痛や片頭痛といった『慢性頭痛』を抑えるために薬を使いすぎると、『薬物乱用頭痛』といって、ますます頭痛が現れることがあります。詳しいメカニズムは明らかになっていませんが、鎮痛剤を日常的に服用すると、なぜか体が痛みに対して過敏に反応するようになってしまうことがあるのです。ほかにも、一般的な副作用として胃炎や胃潰瘍、腎機能障害などもあります。痛みが弱い場合や痛みがない場合の服用は、できる限り控えたほうがいいかもしれません」
【下痢】
「食中毒やノロウイルスなど、感染性胃腸炎による下痢の場合、下痢止めを飲むのは逆効果です。原因菌を腸内にとどめてしまうことになるので、結果、下痢が長引き、腸粘膜の回復も遅れます。過敏性腸症候群による下痢の場合も、原因はストレスであることが多いので、そもそも下痢止めはあまり効果がありません。電車内や会議など『今、この瞬間』をしのぐためにはやむをえないこともありそうですが、安易な服用には注意しましょう」
【便秘】
「便秘薬にはいくつか種類がありますが、腸を刺激して便秘を改善する『腸刺激性下剤』の場合、長期的に服用すると腸の神経が鈍くなり、自力で腸を動かす力が弱くなってしまう場合があります。そのため、便秘治療では『塩類下剤』が多く使われますが、こちらも腎臓や心臓が悪い人は、マグネシウム血症に注意が必要です」
便秘改善には、食事や運動など、生活習慣の見直しも忘れずに。
【うつ】
うつ病のときに処方される「抗うつ薬」。「抗うつ薬を飲んだら負け、という情報も出回っていますが、これは大きな間違いです!」と、橋本先生は断言する。
「うつ病に対する偏見の根強さが、抗うつ薬に対する誤った情報を広めてもいるようです。確かに飲み始めて体に慣れるまでに、吐き気や嘔吐などの副作用が出現することはありますが、慣れるにつれて副作用が落ち着いていくことがほとんどです。うつのときは脳の中のセロトニンやノルアドレナリンが少なくなっているので、それらの働きをサポートするのが抗うつ薬の作用です。薬についての正しい知識を身に着けて、薬をうまく利用しながら、焦らず丁寧にうつ病と向き合う事が大切だと思います」
【外傷】
かつてはどの家の救急箱にも消毒薬が入っていたが、いまや「ケガをしたら消毒薬」は時代遅れ!
「そもそも消毒薬は、細菌に含まれるタンパク質を破壊することによって殺菌作用を持っています。しかし、人間の細胞に含まれるタンパク質も攻撃してしまうので、傷の回復を妨げる可能性も。いまでは、傷口は水道水でしっかり洗い流し、乾かさないようにすることが重要と考えられています」