「新聞や本を読むと目が疲れる」「視力が低下してきた」「最近、目がよくかすむ」……。
目のトラブルを抱える人は近年増え続けていて、もはや国民病といえる。
また、日本人は世界でも視力が1.0に満たない人が多く、4人に3人が強度近視とも指摘されている。
これについて一般社団法人姿勢道普及協会理事長の清水真さんはこう話す。
「視力低下の原因は、遺伝や環境など多くの理由が考えられますが、私は、根本的な要因は『姿勢の悪さ』にあると考えています。日本では、本来、正座が床に座るときに正しい姿勢といわれていますが、実際の生活では女性は横座り、男性はあぐらになる場合が少なくありません。
これらの座り方は、骨盤が開いて背骨が丸まり、猫背になりやすくなるのです。さらに近年はスマートフォンやパソコンなどの使用で長時間、前かがみの姿勢になり、猫背がさらに悪化することも」
猫背がクセになると、頭が前に突き出した状態になり、首の骨である頸椎にゆがみが起こる。
「頸椎は頭を支える骨であり、全部で7つに分かれていますが、上部に位置する第1・第2頸椎はほかよりも繊細にできています。そのため、猫背の姿勢が続くと頸椎がずれてしまうのです。
そして、第1・第2頸椎の周辺には目の機能を担う眼神経が走っています。頸椎がずれると眼神経が圧迫され、物を見るときにピントの調節がうまくできなくなったり、目の血流が滞ったりするわけです」(清水さん、以下同)
この状態を放置したままだと、目に酸素や栄養が行き渡らなくなり、老廃物も排出されにくくなる。しかも白内障や緑内障、黄斑変性(加齢とともに網膜の中心の黄斑に障害が起こる)を引き起こすことにもなるという。
しかし、逆にいえば猫背を解消することでこれらの不調やトラブルを回避し、視力回復も期待できるというわけだ。
そこでおすすめしたいのが清水さん考案の、猫背も視力も改善するストレッチ「後ろ手深呼吸」だ。
「体のゆがみを解消するこの方法で私自身も視力が回復したのです。20代半ばまでは猫背がクセになっていた私ですが、姿勢と目の関係について学び、背伸ばしストレッチを毎日実践したところ、姿勢がよくなり、0.1だった視力が0.6まで回復しました。現在も両目とも0.6を維持しています」
このストレッチを試した人の中には、白内障のかすみやぼやけが解消し手術を回避できた人もいる。また、緑内障の原因である眼圧の上昇が正常化した人もいるという。