■日常生活は送れるMCIとはどんな状態?
「4大認知症のひとつで、患者数の割合が多いアルツハイマー型認知症の場合、ある日突然なるものではなく、20年ほどの長い期間を経て発症することがわかってきました。その認知症の『一歩手前の段階』がMCIです」
認知症が「日常生活を一人で送ることが困難な状態」だとすれば、MCIは「日常生活は送れるけれど、家族などに同じことを何度も尋ねたりして多少の面倒をかける状態」なのだという。
「アルツハイマー型認知症では、脳にアミロイドβという老人斑がたまっていくことで、徐々に物忘れがひどくなり、やがて認知機能が低下し認知症になります。この物忘れがMCIの症状で、記憶障害はあっても全般的な認知機能は正常範囲内というのが特徴。
その物忘れが激しくなって認知症に極めて近い人もいれば、複雑な内容をすべて正確には覚えていないけれどもおおよそはほぼ正しく覚えられている人もいます。このどちらの場合もMCIとされるほど、症状の幅はあります」
認知症に進行しないよう、取れる対策はあるのだろうか。
「MCIの状態の場合は、早い段階で適切な診断を受け、適切な対処をすれば、認知機能の改善や維持ができたり、機能低下を遅くすることも可能だと考えられます」
改善、維持……。劇的に治ったりはしないのか。
「認知機能は年齢とともに低下しますが、この低下は正常加齢によるもので、誰しもに起きることです。そんななか、MCIの対策をすることで、認知機能を現状維持し、キープできるというのであれば、それ自体がすごいこと。プラスといえます」
まずは、自分や家族がMCIの状態であるかどうかを、チェックリストに記入して確かめてほしい。8項目中4つ以上当てはまれば、要注意だ。