■日本の自治体の97%で水害が発生している
国土交通省の水害統計によると、過去10年間(’08〜’17年)に土砂災害や洪水などの水害は約97%の市区町村で発生している。私たちの日常は、想像している以上に水害のリスクと隣り合わせにあるのだ。国土の狭い日本。もはや安全、安心に暮らせる場所など存在しないのか……。
「100%安全な街はどこにもありませんが、ここ数年の水害データを基に、さまざまな指標を総合的に評価・分析することで、水害リスクが低く、さらに暮らしやすい街を導き出せるかもしれません」
そこで今回は、全国の市区町村を対象に、安全・安心に暮らせる自治体を堀越さんに分析してもらった。
ここでの分析は安全性を重視するため、台風やゲリラ豪雨による【水害】(床上、床下浸水、土砂災害)のリスクが低かった自治体をまずはピックアップ。続いて自然災害以外の安全面の指標として、【犯罪】のリスクを評価ポイントに加えた。さらに各自治体の【財政力】【教育】【福祉】【医療】【繁華性】といった安心につながる要素も盛り込み、暮らしやすさを検証し、総合スコアでランキングを作成。そのベスト5は次のとおり。
【第5位】和歌山県白浜町
総合スコア:62.74(犯罪:53.6/財政力:34.8/教育:51.2/福祉:58.0/医療:51.4/繁華性:53.3)
ランキング10位以内の市区町村の中で、福祉の指標が58.0と最も高く、特別養護老人ホーム施設件数等が充実している自治体。また、1年を通じて温暖な気候で知られており、温泉地や海岸沿いのビーチなど、リゾートとしても人気。近年は水害リスクも低く、安心して生活できる住環境といえる。
【第4位】愛知県みよし市
総合スコア:63.13(犯罪:43.2/財政力:78.8/教育:46.0/福祉:46.6/医療:48.0/繁華性:40.3)
名古屋市や豊田市のベッドタウンとして発展。自動車関連企業が多く、税収が多いことから自治体の富裕度を示す財政力指数は全国屈指の高さ。子ども医療費支給制度があり、医療費は中学卒業まで無料となっている。交通面では東名道・東名三好ICがあり、鉄道でも名古屋、豊田へのアクセス良好。