《年金生活の実態をルポ》月19万の70代夫婦は「趣味も我慢」、遺族年金妻は「生活保護も検討」
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【ケース3】夫・生活保護、妻(66歳)・6万円受給

 

「働くことが好きで、今でも新聞配達をしているという女性。給料は月5万?6万円で、年金と合わせると12万円ほどで生活しているそうです。少し前に腰を痛めてしまい新聞配達の仕事は休んでいますが、代わりにポスティングの仕事をしていました」

 

体調が悪くても、生活のために働かざるをえないケースは多い。

 

「ご主人は認知症で施設暮らしをしているため、世帯分離をして、現在は生活保護を受けているとのことでした」

 

【ケース4】夫と死別した女性(79歳)・遺族年金10万円受給

 

「9年前にご主人が亡くなったという女性は、『生前の夫から(夫の年金の)6割くらいが受け取れる』と聞いていたけど、実際には4割ほど。想定していた金額よりも少なかったと話していました」

 

夫が死亡した専業主婦の場合、妻は自分の基礎年金に加え、夫の厚生年金の報酬比例部分の4分の3が遺族年金として支給される。年金は月10万円ほどで、生活保護費より少ないという。生活保護受給者は医療費が無料だからと、血圧120を超えたくらいで受診する知人がいることに憤っていた。

 

「ご自身も生活保護を受けることを一度は考えたそうですが、子供たちから止められ、申請を諦めたそうです。住居は賃貸で家賃があるため、ギリギリの生活。自炊するときは少し多めに、翌日の分もまとめて作るようにして節約していました」

 

【ケース5】夫と死別した女性(83歳)・遺族年金20万円受給

 

「死別したご主人が国家公務員だったこともあり、夫の遺族年金を含め、1人で月20万円の年金を受け取っていました。グラウンドゴルフやマージャンなど趣味も豊富で、積極的にチャレンジするタイプの方で、私自身もモチベーションが上がるインタビューでした」

 

金銭的にはゆとりがあるものの、「無駄なものは買わない、古い洋服も着回す。新しいものに飛びつくと、お金がいくらあっても足りない」と、堅実な生活ぶりが印象的だったそうだ。

 

「インタビューを通して感じたのは、スーパーで半額シールが貼られた商品を頻繁に購入したり、おかずの品数を減らすなどして、節約に励む人が多かったこと。ガス代節約のため、お風呂の湯量を少なくし、寝転びながら入浴する人もいました」

 

【ケース6】離婚女性(81歳)・3万5千円受給

 

「若いころ、酒癖が悪く、博打うちで、借金を作る夫から3人の子供を連れて夜逃げした過去のある独身女性がいらっしゃいました」

 

養育費は受け取らず、昼は工務店、夜は飲食店の仕事と必死で働き、3人の子供を大学まで卒業させた。

 

「頑張った親の背中を見た子供たちが金銭面で援助してくれるそうです。年金は少なくても、家族関係が良好であれば何とかやっていける、という好例でした」

 

離別、死別、独身など単身の高齢女性は貧困リスクが高い。昨年発表された「財政検証」によると、現在50歳の男性が将来もらえる年金額は平均14.1万円であるいっぽう、女性はわずか9.8万円だ。

 

梅子さんが最後に語る。

 

「多くの方がおっしゃっていたのは、年金生活で家賃の支払いは厳しいので、持ち家が安心であるということ。また厚生年金に加入して長く働いていればよかった、貯金をしておけばよかった、という後悔も。少ない年金でも豊かに暮らすためには、お金のかからない趣味を持つことも大事だと感じました」

 

人生の先輩たちのリアルな声を参考に、今からできる準備をしておく必要がありそうだ。

 

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