“遺族年金は夫の4分の3”は間違い!社会保険労務士が解説する「ケース別正しい年金試算」
画像を見る 遺族年金は思ったより少ない。介護や施設に入ることを考えると、備えが必要だ(写真:takeuchi masato/PIXTA)

 

■1人になる前に年金繰下げなど検討して

 

【ケース2】両親とも会社員だった場合

 

共働きで、母自身の厚生年金が比較的多い場合はどうだろう。

 

「2人で暮らす間はゆとりがあるでしょう。ですが、父亡き後の遺族厚生年金は少ないです」

 

父母の厚生年金額が近い場合、ケース(1)と同じ4分の3を用いる計算式では、遺族厚生年金がマイナスになる。そんなときは、父の厚生年金の2分の1と母の厚生年金の2分の1を合わせて、母の厚生年金を引く計算を行う。夫婦のうち厚生年金額の多いほうが先に亡くなった場合、遺族厚生年金は必ず支給されるのがルールなのだ。

 

とはいえ、母1人遺されたら遺族年金を含めても月16万円とは、2人暮らしから半減する計算だ。

 

「2人暮らしで余裕があるうちに、年金の繰下げなどを検討して」

 

年金を65歳より遅くもらい始める繰下げでは、1カ月遅らせるごとに0.7%受給額が増加する。5年遅らせると42%アップだ。

 

「ただし、母の厚生年金を繰り下げ受給額を増やすと、遺族厚生年金から引かれる金額が大きくなり、結果、遺族厚生年金が減ってしまいます。繰下げは厚生年金と基礎年金を分けて行えるので、遺族年金を減らしたくない人は基礎年金だけ繰り下げるとよいでしょう」

 

【ケース3】両親共働きの自営業だった場合

 

「国民年金夫婦のどちらかが18歳未満の子を残して亡くなった場合、手厚い遺族基礎年金が支給されますが、子どもが成人した老夫婦には遺族年金はありません」

 

40年加入の満額受給者でも、国民年金は2人分で月約13万9千円、1人だと月約6万9千円だ。

 

「自営業の人は長く働いて収入のあるうちは年金を繰り下げ、妻がパート勤めで社会保険に加入するなど年金を増やす方法を考えて」

 

だが、年金を繰り下げて早死にしたらもったいないのでは……。

 

「一生に年金をいくら受け取るかを考えると、早くから受け取ったほうが得でしょう。ただ、介護費という視点も重要です」

 

「介護は親の資金で」が基本だが、親の年金や資産が少ないと、その負担は子どもにかかってくる。

 

「月々の年金額を増やしておけば、子どもの介護費負担を減らせます」

 

母の生活費や介護費の観点から、父亡き後の母の年金を考えよう。

 

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