夏は室内と屋外の気温差や水分の取りすぎなど、体に負担をかけてしまいがちな季節。特に、腸へのダメージにご用心! そのコンディションは、健康寿命と大いに関係している――。
「腸内環境を整えて健康を維持する“腸活”がブームですが、『腸にいい』と思っていた習慣が、じつは腸の状態を不調にする原因だった、ということがよくあります。腸が健康でないと、肌荒れなど見た目に影響が出るだけでなく、精神的にもストレスがたまり、免疫力が下がって病気にかかりやすくなってしまうのです。人生100年時代ともいわれますが、健康寿命でいるためには、足腰だけでなく、腸の健康も欠かせません。正しい腸活を行って、消化と吸収、排泄がスムーズな“美腸”をキープすることが大切です」
松生クリニックの松生恒夫院長は、腸の健康の大切さをそう強調する。松生院長はこれまで4万件以上の大腸内視鏡検査を行い、“汚腸”の人を救ってきた便秘外来のスペシャリストだ。
「ベストな“美腸”の状態になるためには、毎日の朝食後に消化管の収縮活動“大蠕動”が起きて、スムーズな排泄が行われていることが不可欠です。ダイエットで朝食を抜いたり、食事の時間が不規則になるなど、生活リズムが狂うと大蠕動が起こらなくなります。また、腸に強いストレスがかかると交感神経が優位になり、腸を動かす腸管運動にブレーキがかかり、便秘の原因となってしまいます」(松生院長)
便秘は腸の老化を早めるだけでなく、万病のもと。便秘が長引くと、老廃物や毒素が体内にたまり、さまざまな病気リスクが増大してしまう。“腸美人”であることは、体の内部も見た目もイキイキと過ごすためのカギなのだ。
年齢とともに筋力が低下してくると、腸が下がり、周囲の内臓も一緒に引きずられて動きが鈍くなるという。便の排出がうまくいかないと、老廃物がたまり便秘になるといった負のスパイラルに陥ってしまう。そこで日本美腸協会代表理事の小野咲さんがすすめるのが美腸エクササイズ「腸もみ」だ。
「肌の上から腹部をマッサージするのが“腸もみ”です。正しい位置に腸を直接引き上げ、たまった便を出すと、1~2キロは体重が減って、ダイエットをしなくても、ウエストとともに下腹も引き締まってきますよ」(小野さん)
■腸もみ
【基本の腸もみ】腸の働きを活性化する
(1)肌の上から腸を押すときには両手を使う。両手の人さし指、中指、薬指を重ねて押すと、押す面積が広くなり痛くならない。
(2)脇腹をもむときは、4本の指と親指でつかみ、指の第一関節まで入る程度に力を入れる。痛くなったらやめる。
【小腸のツボ押し】便秘と下痢に効く
(1)おへそから左右それぞれ指2本分の位置にあるツボを、左右の人さし指、中指、薬指の3本を使って、息を吐きながら同時に押す。
(2)おへその上下のツボを左右の人さし指、中指、薬指の3本を使って同時に押す。本来、ツボおへそから上下、指2本分だが、腸が下がり気味の人は上は指1本分、下は指3本分の位置で押す。
【ガス腸の腸もみ】腸の動きの悪い原因を撃退
(1)両手の人さし指、中指、薬指の3本の指の腹で、おへそのまわりを時計回りにポンポンとたたく。
(2)ポンポンとたたきながら円を大きくしておなか全体にリズミカルな刺激を与える。10分以上続けると効果が出やすい。
入浴後などにリラックスしながら腸もみを行うとより効果がアップするそう。特に便秘がひどいときにはベッドの中に入ってから寝る前に念入りに腸もみをすると、たまった老廃物が出やすくなるという。
呼吸を整えながら、無理のない範囲で毎日続けよう!