「女性の体はデリケートで、寒暖の差、気象や環境の変化によって不調を抱えやすい。病院に行っても改善がみられず、不調のまま何年も過ごしている人も多く、私もその一人でした。そのような体調不良は、栄養の不足が原因かもしれません。薬に頼る前に、一度食事を見直してみることをおすすめします」
そうアドバイスするのは栄養コンサルタントの杉山明美さん。杉山さんはソウルオリンピックに出場した経歴を持つ元バレーボール選手だが、現役時代は食欲不振や不眠、鉄欠乏性貧血などの体調不良に悩まされたという。
「現役を引退後はさらに体調が悪化して寝込んでしまうほどでしたが、友人のすすめで血液検査を受けると、栄養バランスの乱れが不調の原因だということがわかりました。そこで、栄養について正しく理解しようと分子整合栄養学を学びました。同時に、栄養の取り方を自分に合った方法に変えてみたところ、貧血や食欲不振などの症状が1つずつ消えていきました」(杉山さん・以下同)
体の不調を感じたとき、栄養を取ろうと選ぶ食材には、じつは間違った思い込みも多いという。そこで、クイズ形式で勘違いしがちな食材選びを見直し。“女性の悩み”に効く食材はどっち?
【Q1】鉄分不足を補うためには? プルーン or 牛肉ステーキ
正解は、牛肉ステーキ。プルーンの鉄分は体内への吸収率が低い非ヘム鉄なので、吸収率が高いヘム鉄が豊富に含まれている牛肉のほうがいい。ビタミンCと一緒に食べると、吸収率が2倍になるので、ビタミンCが豊富なブロッコリーを添えた牛肉のステーキがベスト。
【Q2】食欲がないときに胃を助けるのは? キャベツ or 大根
正解は、大根。食欲がないときは胃の消化酵素が十分に出ず、うまく消化できていないと考えられる。大根など消化酵素が豊富な食材と一緒に食べると食欲不振の改善につながる。胃が痛いときには胃の粘膜を再生するビタミンUを含むキャベツが有効。
【Q3】かぜをひいたら取るとよいのは? 卵酒 or おかゆ
正解は、卵酒。かぜで体調を崩すと、体の中で抗体を作ってウイルスを退治しようとする。抗体が作られる際には熱が上がるが、解熱剤を用いると体温の上昇を邪魔するので、抗体ができにくくかぜが長引いてしまう。卵に含まれているタンパク質は、かぜのウイルスに対する抗体の材料になる。
【Q4】膀胱炎のときによいのは? メロン or スイカ
正解は、スイカ。女性には細菌が原因で起こる泌尿器系のトラブルが多い。免疫力を上げるためには、ビタミンCが多く取れるスイカがよい。スイカの成分の90%は水分なので、尿を酸性にして細菌を繁殖しにくくするうえ、カリウムの利尿作用で水分とともに体の外に流し出してくれる。
【Q5】肌トラブルを予防するには? クレソン or カット野菜
正解は、クレソン。カット野菜は袋詰めの過程で、洗浄・殺菌処理を施すので栄養素が減っている。健康を意識するのならクレソンがおすすめ。肉料理の付け合わせで食べるイメージが強いが、ビタミンC、βカロテンが豊富で肌トラブルのもとになる活性酸素を除去してくれる。
クイズのように、思い込んでいる常識がじつは的外れなこともある。暑い夏こそしっかり食べて、美と健康を維持しよう。