認知症による行方不明者が1万8000人と過去最多! 家族の「徘徊失踪」を防ぐために知っておくべきサービス8
画像を見る 前期高齢者はまだまだ健脚なので想定以上に遠くまで歩いてしまう(写真:PIXTA)

 

■徘徊による行方不明を防ぐ方法とは?

 

認知症の人が徘徊で行方不明になってしまう原因に、認知症の中核症状である「記憶障害」と「見当識障害」がある。

 

認知症の初期の段階では、夕食を食べたことを忘れたり、直近から数日前までの記憶が失われたりという記憶障害が起こる。また、見当識障害は、今の時間や場所がわからなくなるので、外出先でパニックに陥ることがある。

 

「たとえば、夕方になると自宅にいるのにもかかわらず、昔の記憶がよみがえり、『自宅に帰る』と外に出てしまう。落ち着きをなくして出かけようとする症状のことを『夕暮れ症候群』といい、環境の変化によるストレスが原因で起こるともいわれています。そんなとき、徘徊しないようにドアの鍵を外からかけたり、靴を隠したりして外出できないようにすると、逆効果です。行動のじゃまをする人と思われてしまい、言うことを聞かなくなってしまうこともあるので注意が必要です」(矢野先生・以下同)

 

徘徊しそうになったときに、矢野先生が家族に勧めている対処法は“寄り添う”ことだという。

 

「たとえば、お父さんが『会社に行かなければ』と支度をしているとします。叱ったり、止めたりしないで一緒に外に出て、歩きながらほかの話をして気分転換をしてみましょう。会社に行こうとしたことを忘れて、すんなり自宅に戻ったというケースもあります」

 

そこで問題になるのは、世話をする家族の負担が増えてくること。

 

毎日寄り添いたいと思っても、介護をする側に負担がかかり、体力的、精神的に限界がきてしまう。 そんなときこそ一人で抱え込まず、ふだんから隣近所の人や民生委員とつながるだけでなく、行政サービスなどの情報を入手しておくともしものときに役立つ。

 

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