【SNSで話題】出産時の「会陰切開」なぜ必要? 医師が明かした命に関わる“切実”な理由
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■「会陰切開は命に関わるリスクを回避するために行っている」

 

まず会陰切開はなぜ必要なのだろうか。

 

「人間は、動物の中でもすごく脳みそが発達していて頭が大きいです。出産で出てくるときの頭の幅は大体10センチぐらい。ところが、膣はそこまで広がらない場合も多く、助産師がお産するときには会陰を伸ばしながら頭を出します。逆に、何もせずに産むとズタズタに裂けてしまうことがあります」

 

会陰切開は、このような出産時の損傷を最小限に抑えるために行われるものなのだ。そもそも出産は、命懸けの行為である。

 

「発展途上国など会陰の保護技術がない国では、お産で亡くなる方がたくさんいます。原因としては出血も多いですが、出産時にできた傷が原因となることも多いです。産道の裏にある直腸や肛門の方まで裂けてしまうと、腸にいる便のばい菌が膣や子宮に入ってきて、高熱が出て死に至ります。

 

1番避けたいのは直腸まで裂けることです。会陰切開を入れずに放っておくと、直腸の方まで裂けてしまう場合があります。これは痛いだけではなく、産後ずっと便が漏れたり、膣と直腸の間に穴が開いたままになってしまって便の菌がどんどん膣と子宮に上がってくる直腸膣瘻という病態になるリスクもあります。それでたくさんのお母さんが亡くなっている国もあるので、会陰切開は命に関わるリスクを回避するために行っているんです」

 

もちろん、必ずしも全ての人が会陰切開を受けなければいけないわけではない。助産の技術や妊婦の状態によっては切らずにスムーズに生まれることもあるという。

 

「分娩の体位や呼吸、赤ちゃんの出てくる向きによっては不要な場合もあります。また、初産婦は切らないといけない人が大半だと思いますが、2人目以降は切らない人も多いです。初産婦でも切らずに済む人もいますが、やはりほとんどの人が切らなければ裂けるかなという感じです」

 

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出典元:

WEB女性自身

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