【SNSで話題】出産時の「会陰切開」なぜ必要? 医師が明かした命に関わる“切実”な理由
画像を見る (写真:PIXTA)

 

■「日本は出産において世界一安全な国」

 

会陰切開について、SNS上には一部には“保険適応にならない”ことを指摘したり、それに不安を感じる声もあがった。加えて、保険点数狙いだと否定的な意見もみられたが……。

 

「そもそも出産自体が保険適用にはなっていません。保険じゃないので点数稼ぎにもなりません。一般的には、会陰切開と縫合は正常分娩の範囲内で、分娩費に含まれているはずです。でも、例えば、第4度裂傷といって、先に言ったように直腸まで裂けたりすると、外科も出てきて手術室での処置となるので、それは保険適用になります。

 

基本的には分娩費の範囲内ですが、自費診療なので病院によっては会陰切開縫合術を別でプラスしているところもあるようです。病院によりますが、ホームページなどで見ると1万円程度だったりするので、それによって格段に変わることはなさそうです」

 

さらに、SNS上には会陰切開をすることについて、《日本は遅れてる》《医者はすぐ切りたがる》などのネガティブな意見が多く拡散されていた。宋先生は、これらは誤った情報だと指摘する。

 

「まず、日本は他国に比べて母体死亡率も新生児死亡率も非常に低く、出産において世界一安全な国といえます。避妊や中絶などに関しては遅れてる部分もあるかもしれませんが、お産に関して”遅れている”ということはありません。

 

また“切りたがる”というのも、切らなくても裂けないのなら、私たち医師は出産の後、『はい! 傷、大丈夫ですね』と言ってそのまま終わりですが、切ったら綺麗に縫わないといけないから、その分手間がかかります。切った方がラクとか儲かるっていうことはありません」

 

会陰切開をする“必要”なく無傷で出産が行えるのが、医師にとっても理想的であることは確か。だが、会陰切開をしないことと母子の命を守ることとでは、圧倒的に後者が優先されるべきだろう。

 

「一般的に助産師は傷なしで出してあげたいし、それが最初の目標です。しかし、そのこだわりが結果的に赤ちゃんのためにもお母さんのためにもならず、会陰もむくんで伸びにくくなってこのままでは裂けるという状況や、母子ともに疲弊して限界という状況では、もう切って出してあげようとの判断になることはあります。

 

妊婦さんの中には“切開を受けるかどうかは自分で選びたい”と考える方もいらっしゃると思いますが、それは“なるべく帝王切開はしたくない”というのと同じで、実際にトライしてみないと希望の通りになるかどうかは分かりません。これに関しては、自分の選択ではなくて、状況に応じてベストなところをプロフェッショナルに任せてほしいです」

 

SNS上では、会陰切開についていたずらに不安を煽る投稿も多い。まず、母子を守るために行われることを認識した上で、不安な点は担当医に相談するとよいだろう。

出典元:

WEB女性自身

【関連画像】

関連カテゴリー: