■野菜などに含まれる非ヘム鉄はビタミンCと一緒に取ると効果的
酸素は、血液中の赤血球内のヘモグロビンに含まれる鉄と結びついて全身に運ばれる。
鉄が不足する貧血になると、体中の組織が酸欠状態となるため、疲れやすくなったり、眠れなくなったりするなどの不調が起こる。また、めまいや頭痛、肩こり、胸痛などさまざまな症状としても現れる。
そもそも日本人には、慢性的な“鉄不足”の女性が多いという。
「20~40代日本人女性の5人に1人が鉄欠乏症貧血といわれており、これは先進国のなかでも発症例が多くなっています。
女性は生理の出血で体内の鉄が流出して鉄不足になりがちですが、そこに加えて、鉄を含む食品を食べなかったり、過度なダイエットや栄養バランスの乱れから、鉄の摂取量が少ないことも影響しています。
また閉経後でも、それ以前から鉄分が不足していたり、定期的に出血するホルモン補充療法をしたりしている人は要注意。
貧血になると心臓から拍出された血液が運搬する酸素量が減るので、脈拍を上げて運搬回数を増やそうとして心臓に負担がかかってしまいます。
定期的に健康診断などで血液検査を受けて、鉄が足りているかどうか確認しておくことも重要です」(濱木先生、以下同)
今回の「日本人の食事摂取基準」の改訂では、それまで女性の鉄の1日あたり40mgという耐容上限量(健康被害をもたらすリスクがない習慣的な摂取量の上限)も削除されている。
「耐容上限量の撤廃は、鉄の過剰摂取によって起こると考えられていた『バンツー鉄沈着症』は遺伝子の異常によるもの、さらには便秘や下痢、腹痛なども鉄の影響が少ないと判断したからです。
とはいえ、鉄を大量に摂取すればいい、ということではありません。
自己判断で鉄サプリメントを過剰に摂取すると体調不良の原因に。鉄分はふだんの食事で意識して補給していくことを心がけましょう」
効果的な鉄チャージの方法を教えてもらおう。
「野菜や大豆、海藻などに含まれる非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒に取ると吸収率が上がるという性質があります。
また、血液をつくるタンパク質、“造血ビタミン”と呼ばれるビタミンB12や葉酸も一緒に取ること。
さらに、調理に鉄フライパンを取り入れたり、お湯を沸かしたり汁ものを作るときには『鉄卵子』という鉄の塊を入れるだけでも鉄補給ができます」
そこで鉄分に加えてビタミンCが豊富な小松菜を使った一品、さらには貧血解消の切り札として知られるカツオとレバーを使った簡単料理を紹介。
いつもの食卓に鉄分をプラスして、健康な毎日を過ごそう!
画像ページ >【レシピあり】鉄分チャージ!簡単“貧血対策”レシピ(他5枚)

