【白内障手術】近くも遠くも見える「多焦点レンズ」のメリットとリスクを医師が解説
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■近くも遠くも見えるぶん自己負担で高額に!

 

単焦点レンズは、手術を含めて保険適用となるため、3割負担の場合で片眼で4万5千円ほど。だが、多焦点眼内レンズの費用は基本的に自己負担だ。通常、保険診療と自由診療の組み合わせは混合診療となり、全額が自費となる。

 

秋葉原白内障クリニックの副院長・大上智弘さんが解説する。

 

「白内障治療には『選定療養』という制度があります。厚労省に認可された特定の多焦点眼内レンズを使用した場合、レンズ料金は自費ですが、手術などは保険適用となります。ただし、認可外のレンズを使用する場合は、レンズも手術もすべて全額自己負担です」

 

主な眼内レンズの特徴や費用を見てみよう。

 

「多焦点眼内レンズの50%近くのシェアがあり、一般的なのがパンオプティクス。3焦点レンズで、近くや中間が見えやすいのが特徴。レンズの費用は医療機関によって異なり、片眼で28万~40万円が相場です。選定療養の対象のため、レンズ代とは別に、手術代は4万5千円ほど(3割負担)別途かかります」(大上さん、以下同)

 

世界初の5焦点レンズであるインテンシティは、選定療養が認められておらず、手術費用を含めて全額自己負担となる。

 

「日常生活で必要な視界を高い精度でカバーします。レンズ費用、手術費や検査費用、薬代を含め、片眼で65万~90万円かかります」

 

■強引な契約トラブルにはご用心

 

今後もニーズが高まれば、選定療養に含まれるレンズの種類も多くなることが予想されるが、医療費が高額になることを考えると、手術を受けるにあたってはトラブルも想定しなければならない。

 

美容クリニックで問題となっているように、個室に閉じ込められ、契約を結ぶまで帰さないようなクリニックもあると聞きます。

 

また、受診日に『今日ならレンズの在庫があるからすぐにできる』と契約を急がせるケースも要注意」

 

説明費用として数千~数万円を請求する医療機関があるという情報も。

 

「私のクリニックでは説明料をいただいていないので、なんとも言えませんが……。いずれにしても医療費は医療機関によって大きく異なるので、相場を知っておく必要がありますし、金額に納得がいかなければ、別の医療機関の情報を集めることも大事です」

 

信頼できる医療機関をネットで検索したいところだが、

 

「医療機関には、満足度の高い好意的な口コミを大量に投稿する企業の営業もあります。検索サイトで上位に来るからといって、安心できません」

 

前出の後藤さんもこう語る。

 

「白内障は、一部の病気を除き、ほとんどは緊急性がありません。数カ月、治療が遅れても取り返しがつかなくなることはないので、高額レンズを提案されても急がず、心配な場合はセカンドオピニオンを受診することをお勧めします」

 

当然、セカンドオピニオンを嫌がる医師も要注意だ。

 

見え方のデメリットもしっかり説明する医師のほうが信頼できる。

 

「夜間などに、光を見ると輪っかが浮かび上がるハロー、光がぼやけるグレア、光の線が見えるスターバーストといった現象が起こることがあります。

 

また、単焦点眼内レンズに比べ、多焦点眼内レンズのほうがコントラスト感度が低下する傾向があります」(大上さん)

 

見え方に慣れるまで、1~2カ月ほど時間がかかることも。

 

「ものを見るということは、視神経の信号を脳が処理すること。多焦点眼内レンズで見た像をスムーズに脳が処理するには、単焦点眼内レンズに比べて時間がかかる傾向があります」(大上さん)

 

メリット・デメリットの両方を理解し、悪徳医師を見極めて、最新治療を受けることが求められる。

 

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