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日本銀行が事務局を務める金融広報中央委員会によると、貯蓄なし世帯は50代で24.4%。30代の貯蓄なし世帯23.9%より多く、50代世帯の4分の1に迫ります。また50代世帯の9.3%は、貯蓄が100万円未満。先の貯蓄なしと合わせると、貯蓄0~100万円未満世帯が33.7%、3分の1に及ぶというのです(’22年調査)。

 

確かに50代はお金がかかります。子どもがいれば大学生などで、教育費負担は甚大でしょう。まだ住宅ローンも返済中で、親の介護などの費用負担がある方も。そのうえ50代はバブル世代。景気のよい時代を経験し「なんとかなる」と楽観的な方が多い気がします。

 

特にバブル女性は“クリスマスケーキ”などと結婚を急かされ、“寿退社”して専業主婦になった人も多かったと思います。その後、バブルの崩壊やリーマンショックなどに見舞われ、右肩上がりの成長はもはや幻想に。しかし、専業主婦の皆さんはバブルの余韻を引きずっていませんか。当時はやった“ワンランク上”や“自分にご褒美”を続けていたら、お金は貯められません。

 

■物価高は続く。就職も視野に入れ収入を増やそう

 

そこで50代女性、特に専業主婦の方には社会に出て働くことをおすすめします。その際、自己実現や社会貢献などはいったんわきに置いて、「お金を稼ぐ」ことを切り口に仕事を探してください。働くと収入が増えるだけでなく、働く夫の大変さが理解でき、いたわる気持ちも生まれます。この気づきを大切にして、老後は夫婦で仲よく暮らすのが得策なのです。

 

たとえば2人で年金が月20万円あれば、少し働けば暮らしていけるでしょう。でも、離婚し年金分割をしてたとえ月10万円もらえても、家賃を払って1人で暮らすのはかなり厳しいと思います。

 

貯蓄が少ない家庭は、夫婦2人ともできるだけ長く働きましょう。働いた収入で暮らせる間は、年金を受給せず繰り下げるといいでしょう。年金受給は1カ月遅らせると月0.7%、5年で42%、最長10年なら84%も受給額が増え、人生の晩年、働けなくなってからの暮らしが楽になります。

 

年金繰下げ中にお金が必要になったら、請求手続きをすると翌月から受給が始まります。3年繰り下げた68歳からの受給では、0.7%×36カ月=25.2%アップした年金を翌月から受け取るか、受給しなかった3年分をまとめて受け取るかを選べます。後者の場合は65歳時点の受給額×3年分ですから、まとまったお金が必要なときは助かるでしょう。

 

さらに、71歳以降にまとめて受給する場合は4月から始まった「特例的な繰下げみなし増額制度」により、繰下げ加算も加えて一括受給できるようになりました。

 

値上げラッシュはまだ続くでしょう。貯蓄に不安がある方は、働いて収入を増やし、年金の受け取り方を考えることから始めてみるといいと思います。

経済ジャーナリスト

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