「今年4月から認知症の母が入所する特養(特別養護老人ホーム)の食費が1日あたり280円値上がりしました。
年間だと10万円以上の負担増。先の見えない介護で金銭面の不安が大きいです」
そう語るのは、東京都杉並区在住の主婦A子さん(56)。
今や値上げのニュースには驚かないが、介護施設の食費の値上げは聞き捨てならない。
淑徳大学の結城康博教授(社会福祉学部)がこう解説する。
「介護保険サービスには、医療における自己負担額の上限がある高額療養費制度と同様に、特養などの介護保険施設を利用した際に、1カ月間に支払った負担額が上限額を超えると、その上限額を超えた分が払い戻される『高額介護サービス費制度』があります。
その費用は、入浴や排せつなどの介護サービスを受けるためのもの。
居住費や食費は保険が適用されず、全額自己負担になります。
その一方で、居住費や食費について、所得や預貯金などの資産が少ない人を対象に一部を補助(補足給付)するのが『介護保険負担限度額認定制度』です」
A子さんの母が入所する特養での食費の値上げ分は全額自己負担のようだ。