■CASE2:妻が会社員時代の「厚生年金基金」
年に一度、誕生月に届く「ねんきん定期便」には、国民年金・厚生年金保険料を納めた期間に応じて、老齢厚生年金と老齢基礎年金の見込み額が記載されている。
その金額を見れば、65歳以降に自分がどれだけ貰えるのか把握できるようになっているが、「もう一つ年金に加入していたことをつい最近知った」というのは、Bさん(50代後半)だ。
「結婚前に勤めていた会社の先輩と久しぶりに会ったとき、『勤めていた会社で厚生年金基金に加入していたから、履歴を調べたほうがいい』と言われて。アドバイスどおり企業年金連合会に電話で問い合わせると、たしかに厚生年金基金に加入していました」(Bさん)
厚生年金基金とは、かつて多くの企業で実施されていた企業年金の一つで、’14年の法改正で、実質的に廃止となった制度。現在は、前出の企業型DC、また確定給付企業年金(DB)に移行している。
会社を退職する際、将来受け取る企業年金の原資が「企業年金連合会」に移ったことを知らせる通知が届くのだが、
「結婚後に姓や住所が変わると本人の特定が難しくなり、通知が送られてこないというケースがあるのです。企業年金連合会のホームページからコールセンターに問い合わせるか、ねんきんネットで確認しましょう」(山本さん)
結果、Bさんは厚生年金基金を支払っていたことで65歳から毎年受け取れる年金額が8万4千円アップ。90歳まで生きたとしたら、総額210万円にもなる。勤めていた当時、給与明細などロクに見ていなかったので、加入していたことすら知らなかったという。
■CASE3:第3号→第1号移行後、国民年金を納め忘れ
結婚後、妻が夫の扶養に入ると、手続きは夫に任せて、年金のことはよくわからないという人も多い。厚生年金に加入している会社員や公務員(第2号被保険者)に扶養される20歳以上、60歳未満の主婦や主夫は、国民年金の第3号被保険者になる。
保険料は自分で納める必要がなく、65歳以降、老齢基礎年金を貰うことができるのだが、問題は扶養に入っている妻の夫が定年退職をしたなどのケースだ。
「その際に妻が60歳未満であれば、妻は第3号被保険者から自営業者などが加入する第1号に移り、60歳まで国民年金の保険料を支払うことで老齢基礎年金を満額で受け取ることができます」(山本さん)
Cさんは、公的な手続きは5歳年上の夫に任せきりで、60歳で夫が定年退職した後、国民年金に加入する手続きを怠っていた。
「65歳になって、受給額が満額でないことに気がついて、愕然としました」と、Cさんは肩を落とす。
国民年金の保険料は、支払い忘れの追納制度があるが、遡って支払えるのは過去2年分まで。10年以内の追納ができるのは、免除や猶予を受けた場合のみだ。
2026年度、国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額7万608円。だがCさんは420月しか加入していないので受給額が月約6万2千円にとどまることに。90歳まで生きたとしたら、約265万円の損失だ。
未納分は長期的に見ると大きな“損失”に。国民年金は漏れなく納めて、満額にしておきたい。
■CASE4:60歳以上に“特別支給”の厚生年金
公的年金の受け取り開始は原則65歳からだが、それ以前でも受け取れる場合がある。
「特別支給の老齢厚生年金」は、’66年4月1日以前に生まれた女性、’61年4月1日以前に生まれた男性で、厚生年金に1年以上加入していた場合、60歳から65歳以前に厚生年金の一部を受け取ることができる制度だ。ねんきん定期便に記載されているにもかかわらず、請求し忘れる人がいるという。
「老齢厚生年金と混同されがちなのですが、『特別支給の老齢厚生年金』には、繰り下げ受給の制度がありません。受給できる年齢に達したら直ちに請求する必要があります」(山本さん)
Dさん(71歳)は、過去に5年間会社勤めをしていたことがあり、60歳から65歳まで毎年約3万8千円受け取れるはずだったが、この手続きを忘れて、遡って請求できる5年が過ぎ時効になってしまったという。該当する年齢の人は、ねんきん定期便もしくはねんきんネットですぐチェックを。
せっかく保険料を納めてきた年金。老後資金を少しでも多く確保するために、貰いそびれのないよう、いま一度確認しておこう。
