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コシヒカリ、ササニシキ、あきたこまちなどに続けとばかりに、続々登場するブランド米。それにしても最近、耳慣れない名前が増えているなと思って調べてみると――。“おいしいお米の代名詞”の世界は、とんでもないことになっていました!

 

今年2月末、日本穀物検定協会(東京都中央区)が毎年発表する「2017年産米の食味ランキング」で、28年間最高位の「特A」をキープしていた新潟県のブランド米「魚沼産コシヒカリ」が、ワンランク下がって「A」になり、日本中に激震が走ったのだ。

 

「魚沼産コシヒカリのランクが下がったのは、昨年の夏から秋にかけての日照不足が原因でしょう。お米はその年の天候によって毎年、出来栄えが左右されます。特に近年は、猛暑で品質が落ちる、というケースが増えてきています」

 

こう分析するのは、五ツ星お米マイスターでスズノブ代表取締役の西島豊造さん。格付けは協会が選んだ全国で合計100人の専門家が、見た目、香り、味、粘り、硬さ、総合評価の6項目について5段階で評価する。今回の食味ランキングでは、全国151産地・品種の米のうち、43の米が特Aに選ばれた。

 

「暑さに強くておいしいお米になるように、品種改良が活発に行われる一方で、生産者の高齢化が進み、日本国内でのお米の消費量も年々落ちています。そこで、品質の高いお米をアピールしながら販売することも欠かせなくなってきました」(西島さん)

 

そのなかで各地の生産者が力を入れているのが、ネーミング。消費者に覚えてもらうために、ユニークな名前のお米が次々登場しているが、それはまるで、子どもたちにつけられた個性的な名前を“キラキラネーム”と呼ぶ現象を彷彿とさせる。

 

特に東北では、発売後3年で収穫量が3倍以上になったブランド米「青天の霹靂」の青森には負けじ! と、うまさを競って“ブランド米戦国時代”に突入しているとか。

 

山形県からは人気の「つや姫」の弟分「雪若丸」が今秋、本格デビューする。キャッチフレーズは「つや姫の凛々しい弟君」。つや姫と雪若丸がセットになった広告を打ち、店頭でも一緒に置いてもらえるように“姉弟作戦”に出た。

 

岩手県は“金銀作戦”で対抗する。宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』から名づけられたお米「銀河のしずく」が’16年に発売されると、女優・のんを起用したCM動画がYouTubeなどで拡散。昨年発売した「金色の風」は、世界遺産の中尊寺金色堂が由来というだけに価格も最高級という。

 

ブランド米は公募をもとにして名前が決められるのが一般的だが、コピーライターが名づけたというのは、今秋、本格的に発売される宮城県の「だて正夢」。

 

「宮城県はササニシキ、ひとめぼれといったブランド米の産地ですが、認知度が低くなってきているので、もう一度、米どころをアピールしたい、さらに復興の夢をかなえる、といった意味を込めました。戦国大名の伊達政宗の“だて”が入ることですぐに宮城のお米だとわかってもらえると思います。お米の名前は『TSUBAKI』(資生堂)など数多くのヒット商品を生んだコピーライターの谷山雅計さんに名づけてもらいました」(県農産環境課)

 

東北以外に目を向けてみると、広島県のブランド米「恋の予感」は個性的。「冷めてもおいしい」をウリにしているそうで、名称、デザインともに公募で選び、パッケージは男女が向き合うイラストが描かれている。

 

また、「森の都、熊本から生産された」という由来から名づけられたのは「森のくまさん」。新品種の「くまさんの輝き」も、覚えやすい。

 

’17年産ブランド米で台頭する新興勢力は、名前がなかなか個性的!

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