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再婚がめずらしくない時代になりました。日本で年間の結婚数に占める再婚の割合は26%です(両方あるいは片方が再婚の場合・21年・厚生労働省)。こうしたなか、再婚したい人向けの婚活事業が広がりを見せています。なかでも1人で子どもを育てるシングルマザー、シングルファーザーを対象に、割安プランを設ける結婚相談所が増えています。

 

たとえば「サンマリエ」では、21年11月から「ひとり親家庭特別プラン」を始めました。18歳未満の子どもと同居するひとり親が対象で、通常18万7000円(税込み・以下同)の初期費用を約70%引きの5万5000円に、通常1万7600円の月会費を約37%引きの1万1000円に割り引きます。また、「パートナーエージェント」には、子どもが20歳までの「シングルマザー応援プラン」があります。成婚コンシェルジュがつくコースでは、初期費用が通常10万4500円のところ、50%引きの5万2250円。月会費も通常は1万8700円ですが、約47%引きの9900円です。

 

驚くのは成婚率です。全会員の平均成婚率27%と比べて、シングルマザー応援プランの成婚率は51.2%と約1.9倍。相手に求めるポイントが明確なのでしょう。さらに、シングルマザー・シングルファーザー専門という神奈川県の「ルーチェファータ」や、再婚専門をうたう東京都の「リスタート」なども出てきました。

 

■シングルマザーの場合は世帯収入が平均の3割

 

こうした再婚者向けのプランなら、離婚歴があり子どもがいることを前提とした婚活が可能です。「バツイチでも、子どもがいても平気かな?」などの不安を持つ必要がないのがメリットでしょう。しかも、ひとり親は子育てをしながら働くため、子どもの体調によっては欠勤が増えることもあり、非正規雇用で低収入の方が多いです。平均年収はシングルマザーだと200万円、児童手当などを含めても243万円。シングルファーザーは平均年収が398万円で、児童手当などを含めて420万円といいます(22年・厚生労働省)。

 

児童のいる世帯全体の平均は745万9000円なので、シングルマザーだと約3割、シングルファーザーでも約5割に抑えられています。そのため、日本の生活水準や経済環境に比較して困窮した状態をさす「相対貧困率」はひとり親世帯では約48%。つまり、約半数のひとり親世帯が困窮状態にあるということです(22年・厚生労働省)。

 

ひとり親婚活サービスの割引は、こうした経済事情を反映したものでしょう。婚活をしたいひとり親にとってありがたく、婚活事業のマーケットを広げたい結婚相談所にもメリットのあるwin-winなサービスといえます。子育ては複数の大人が協力するほうが経済的にもメンタル面でもよいことが多いと思います。こうしたサービスを通じて、子育てを楽しむ夫婦が増えるといいですね。

経済ジャーナリスト

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