深部体温が快眠のカギ(写真:PIXTA) 画像を見る

実際の睡眠時間が、理想の睡眠時間から2時間不足する人の約3割は、うつ病や不安障害の疑いがある……。政府は10月13日に’23年版「過労死等防止対策白書」を公表。そのなかで、睡眠時間と精神疾患の関係についての調査結果に言及している。

 

まず、理想の睡眠時間は半数近くが「7~8時間」と答え、「6~7時間」と合わせると8割近くに。しかし、実際の睡眠時間は「5~6時間」がもっとも多い。

 

次に、理想の睡眠時間が確保できている人のうち、うつ病や不安障害の疑いがある人は16.9%にとどまるが、2時間不足だと27.7%、3時間不足だと37.1%と増えていき、5時間不足だと48.8%に達する。睡眠不足とうつ病や不安障害の発症に、明らかな因果関係があることを裏付けるデータだろう。

 

さらに、自分の幸福感を「とても不幸せ」~「とても幸せ」の10段階で聞いたところ、「とても幸せ」に近い「幸福感8以上」の人の割合は、理想の睡眠時間を確保できている人だと49.1%。だが、2時間不足だと27%で、5時間不足だと12.8%と下がってくる。睡眠時間が短いほど、幸福感も低くなるようだ。

 

■脳冷やしで健康な体とメンタルをゲット

 

「睡眠時間と精神疾患の発症に、相関関係があるのは間違いないと思います。これまでも多くの調査研究がありますし、今回の政府の調査もそれらを後押しする結果でしょう」

 

そう話すのは睡眠コンサルタントの友野なおさん。友野さん自身も精神疾患の一種であるパニック障害を、睡眠を改善することで克服したという。

 

「睡眠は『QOL』と呼ばれる生活の質に大きく関与します。睡眠が十分でないと、体や心のあらゆる面に悪影響を及ぼすことがあるのです」(友野さん、以下同)

 

睡眠不足だとパフォーマンスの低下ややる気の減退などを実感する人も多いだろう。とはいえ「明日のために早く寝なきゃ」と焦れば焦るほど眠れない夜もある。

 

「睡眠は、深部体温が下がっていく過程で眠気が起こり、次第に熟睡を誘います。そして、深部体温の上昇とともに、人は目覚めることもわかっています。よい眠りを得るポイントは『深部体温』が握っているのです」

 

深部体温とは聞きなれない言葉だが、2種類ある体温の1つで脳や内臓の温度を示すという。もう1つは体の表面の「皮膚体温」だ。

 

こうした深部体温を下げれば、よい睡眠が得られるということだ。

 

「ですが、体の内側にある内臓の温度を、体の外側から下げるのは簡単ではありません。そこで、深部体温のなかでも高温の脳をねらいましょう。脳の温度を下げる“脳冷やし”は、快眠を得るのに効果的です」

 

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