■世帯分離のメリットとデメリットを見極めるのも重要
ちなみに世帯分離の申請は居住地の自治体窓口で「世帯分離をしたい」と相談し、届け出の書類「世帯変更届」「住民異動届」などを提出するだけでOKだ。
実は、冒頭のA子さんは、母親と同一世帯。A子さんの夫の収入により、母親は介護保険負担限度額認定制度では第4段階になっていたのだ。
「親が介護福祉施設に入所すれば当然世帯が分かれるので世帯分離になるはずですが、誰にも教えられないまま同一世帯でいて、高い介護サービス料を支払っている人も少なくありません。
“親を見捨てられない”“家族の縁は切れない”と考えて世帯分離をしない人もいますが、世帯分離は生計を異にしていれば世帯は別ということ。
親子の縁を切るわけではありません」(太田さん)
もちろん、世帯を同一にして親を子どもの扶養に入れることで、医療費控除や扶養控除が受けられたり、勤務先から支給される家族手当が受け取れたりするなどのメリットがあることも忘れないでほしい。
「低収入の人同士の世帯分離をする際には注意が必要。収入は世帯で合算するので、世帯分離前は1人あたりの収入が少なく住民税非課税世帯だったのに、世帯を分けたことにより片方が課税世帯になってしまい、介護保険料や医療費の負担が増える可能性もあります」(太田さん)
世帯分離のメリットとデメリットを見極め、介護保険負担限度額認定制度を効果的に活用しよう。
画像ページ >【一覧あり】介護保険負担限度額認定証の取得条件(他3枚)
