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「腸内環境を整えて健康を維持する“腸活”がブームですが、『腸にいい』と思っていた習慣が、じつは腸の状態を不調にする原因だった、ということがよくあります。腸が健康でないと、肌荒れなど見た目に影響が出るだけでなく、精神的にもストレスがたまり、免疫力が下がって病気にかかりやすくなってしまうのです。人生100年時代ともいわれますが、健康寿命でいるためには、足腰だけでなく、腸の健康も欠かせません。正しい腸活を行って、消化と吸収、排泄がスムーズな“美腸”をキープすることが大切です」

 

松生クリニックの松生恒夫院長は、腸の健康の大切さをそう強調する。松生院長はこれまで4万件以上の大腸内視鏡検査を行い、“汚腸”の人を救ってきた便秘外来のスペシャリストだ。

 

「ベストな“美腸”の状態になるためには、毎日の朝食後に消化管の収縮活動“大蠕動”が起きて、スムーズな排泄が行われていることが不可欠です。ダイエットで朝食を抜いたり、食事の時間が不規則になるなど、生活リズムが狂うと大蠕動が起こらなくなります。また、腸に強いストレスがかかると交感神経が優位になり、腸を動かす腸管運動にブレーキがかかり、便秘の原因となってしまいます」(松生院長・以下同)

 

便秘は腸の老化を早めるだけでなく、万病のもと。便秘が長引くと、老廃物や毒素が体内にたまり、さまざまな病気リスクが増大してしまう。“腸美人”であることは、体の内部も見た目もイキイキと過ごすためのカギなのだ。

 

日本人の食生活の欧米化により、腸内環境が悪化して便秘になる人が増えている。大腸がんにかかる人も年々増え、がんで亡くなる人のうち、女性では大腸がんがもっとも多い(男性では3番目)。便秘になりがちという女性は気をつけたいところだ。

 

その一方、腸の健康を維持している人は健康寿命であることが研究で実証されているという。

 

「アメリカのミネソタ州では、’88年から’93年までに20歳以上だった人を対象に『消化器症状評価アンケート』を行い、約4,000人を’08年まで追跡調査しました。この調査の結果、慢性的な便秘がない人のほうがさまざまな病気にかかりにくく、生存率も高いことがわかったのです」

 

食物繊維が豊富で、ビタミンCやカリウム、タンパク質分解酵素のアクチニジンなど、たくさんの栄養素が詰まっているのがキウイフルーツ。毎日1個でも食べることを松生先生は勧めている。

 

「酪酸をはじめとする短鎖脂肪酸は腸内の善玉菌を増やし、腸内フローラのバランスを整えてくれます。酪酸は水溶性食物繊維を取ることで産生されますが、現代人はこの栄養素が不足しがち。これをキウイで効果的に補うことができるのです。腸のためにはヨーグルトよりもキウイがお勧めです。また、腸の働きをよくする効果があるオレイン酸を多く含むオリーブオイルをキウイにかけて食べれば、いっそう効果的ですよ」

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